ベンチャー企業社長の挑戦、そして苦闘

サン・アクト株式会社というベンチャー企業の社長が語ります。

ある経営者の話、そして「Mystic River」

昨日は、ある企業の経営者の方とお話する機会がありました。まだお若く30歳になられたばかりくらいだと思うのですが、会社経営をされているだけでなく、地元の大学(それなりに有名な)で大学生としても再度、他分野の勉強をされているというパワフルな方でした。

さて、この方は、昨年、学生としての勉強の一環で夏休みにアメリカで10日間ほど、国立公園でキャンプやカヌー、トレッキングなど様々な野外活動を体験できるプログラムに参加されたそうです。そして非常に自分としては良い経験であったとのお話でした。

アメリカで野外活動を体験することは、もちろん楽しい、おもしろいものなのですが、この方いわく、様々な人間関係の中で、10日もの期間、生活を共に過ごすということが、経営者として新鮮な体験であったそうです。考えてみれば、大学の授業の一つであるため、まだ社会人を経験していない本来の大学生、大学教授、そして現地コーディネータなど、多種多様な背景・考え・性格を持つ人間同士が、「従来の教室での数時間」を超えて共に生活すると、善し悪しはともかく様々な事柄が起きます。そして本来の個々の性格なども少しは見えてくるものがあります。

こういった事柄が毎日、会社生活をしている中では経験どころか想像すらつかず、こんな世界もあったのかという点で、「良い経験」とこの方は捉えられたようです。親睦を深めるという目的で、いくら社員旅行でをしても、会社の枠組みを簡単に超えることはできない、といったことと同じかもしれません。

この方も、現在では、もう10日間も休みをとって海外にいくことは無理と言われていましたが、通常生活では得られない経験であったと共に非常にリフレッシュできたとお話されていました。

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私は大学時代にボランティアでキャンプリーダーというものをやっていました。大学時代は勉強よりもキャンプばかりで、子供たちと一緒にキャンプをしたり、キャンプのプログラム自体をつくりあげたりと、いずれにせよ「野外という場所」で様々な人間同士と触れ合い、子供達自身もそして自らも毎日の生活では得られない多様な経験をしました。

そして、この経験が背景となって、今の事業も展開しています。いわゆる狭義の「環境=Eclogogy」ではなく広義の「環境=Environment」を改善していきたいということが我々の根幹にあるわけです。換言すれば、環境教育の事業などは、私の学生時代の実体験が無ければ、できなかった事業かもしれません。

私は、「経験・体験しなければ理解できないもの」が必ずあると思っています。読むだけ、教えられるだけでは本当の理解とは言えない、あるいは理解しても意識まで変革する、変革されることは難しいということです。

例えば、いくらキャンプのビデオを見ても、実際にキャンプを経験することとは非常に違いがあります。この点はご理解いただけるでしょう。また、いくら教室で足し算・引き算を学んでも、それを実際にモノを買う際にはじめて足し算や引き算の必要性を感じることと同じかもしれません。

また、我々の事業である衰退した樹木の回復事業についても、いくら画像や文章でご紹介しても、一度、回復樹木の現場なり、回復した満開のサクラをご覧いただかないと、なぜ我々はこのような事業を続けているかという、本当の意味合い・意義というものはご理解いただけないことと同じでしょう。

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さて、今回、ご紹介した方のお話とは反対になりますが、最近、私が見て特に印象深かった映画(DVD)をご紹介します。ある意味、子供時代の強烈な経験が、その後の生き方にも残ってしまい、大きく人生を変えた、といった内容の作品です。

ミスティック・リバー 特別版 〈2枚組〉

ミスティック・リバー 特別版 〈2枚組〉

「Mystic River」は、デニス・ルヘイン(Dennis Lehane:レヘインとも呼称されていました。)という作家の作品の映画化で、通常、私は本を読んでから、映画化されれば映画を見るというパターンが多いのですが、今回の場合、本は知っていたのですが読んでいませんでした。

私は映画評論家ではありませんので、あまり書けませんが、この作品はCG・Special effectsなどが一切ないことが特徴の一つかもしれません。CG等を多用した作品も私は好きですが、「演技だけで勝負」といった感をこの作品から受けました。また、このDVDのDisk 2の内容がかなり濃厚で、作品の背景なども良く理解できます。アマゾンのレビューを少し見たのですが、作品自体の評価は高くないようですが、私はストーリーそのものよりも役者の演技が良かったなという印象が強いです。Disk 2を見れば、なぜCGが無かったのか、なぜあのような結末で終わったのかなどが、監督や役者の声でご理解いただけるかもしれません。

すでに先週用意しておいた、「Mystic River」原作そのものが手元にあります。週末に読んで、私なりに映画とは違った楽しみ方をする予定です。もちろん本の感想は書きませんのでご容赦ください。

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「Mystic River」はともかく、いずれにせよ毎日の生活にはあり得ない経験や体験は、自らの心を大きく左右すると私は確信しています。そして、これは何も子供時代だけでなく、20代、30代、そして40歳近い私など、どのような世代にも言えることだと私は思っています。