ベンチャー企業社長の挑戦、そして苦闘

サン・アクト株式会社というベンチャー企業の社長が語ります。

社長ブログでこれだけは書いては駄目だと思う重要な3つのこと

ブログでやっては駄目なこと  ブログを開始してあと1ヶ月で4年となりエントリー数も800件近くとなった。ブログを開設した当初の最大の目的は、我々の取引先様だけでなく、社員の家族も含め、日々の会社の現状をサイト上で理解していただきたいという思いから、当社のステイクホルダー各位に向けて、社長からの情報発信という意味合いで毎日更新していた。  開設から2年間程は、会社の現状や環境、自然に対する私なりの考えを書き綴ってきた。そして、サイトを続けていく過程で、ステイクホルダー各位だけでなく、それなりの読み手の方々が増えてきた。関係者にご理解いただける内容を書くという意識から、多くの方々に共感を抱いてもらえる内容へと少しばかり意識の変化があったともいえる。  ただ、最近2年程は、3、4日に一度の頻度での更新となり、エントリのペースがかなり落ちた。読み手の方々を意識するわけでもなく、ただ自分なりに思うことを、書きたい時、あるいは書くことができる時に無理せずに書こうと考えたことが最大の理由だ。  さて、以下に、4年間を通じて経験した私なりに思う「社長ブログ」がやってはいけない重要な3つの事項を列挙する。 1)お客様、打ち合わせ先様などの固有名詞は出さない。  Googleの場合、私のサイトは数時間以内にインデックス化(掲載)される。また、このサイトはGoogleで「ベンチャー企業」という検索語句で、最高で3番目、平均して5番目にヒットする。Yahoo!でも「ベンチャー企業 社長」では1番目にヒットする。このように検索サイトと私のサイトは相性が良いようで、他にも様々な語句で検索上位に入ることが多く、エントリタイトルや文章中の語句を選ぶ際は多少なりとも配慮が必要となっている。  我々の事業は、有名寺院や神社、公共施設等の「衰退した樹木を再生させる」ことが主体であり、「どこそこのお客様の衰退した樹木を再生させた」などの内容をエントリすることは、宣伝にはなるかもしれないが、それ以上に、お客様に対して大変なご迷惑をおかけすると共に守秘義務の観点からも、絶対にやってはならないことだ。有名寺院や公共施設などお客様の固有名詞をエントリで公開し、検索などで内容が露出することによって、「あそこの神社の樹木は元気がないらしい」などといったことが知れ渡ることで生じるリスクは想定できない程、大きなものであり、お客様だけでなく我々の信用さえも失う可能性が高い。  また、打ち合わせでお会いした方の固有名詞も出さない。こちらも想定できないリスクが生じる可能性がある。例えば、まだ準備段階の新規事業について、誰と打ち合わせたかなどを書くことは、ビジネスチャンスを失う可能性に繋がるからだ。  ブログ開設当初は私自身、何も考えず「何を誰と食べた、誰とどこで会った」といった内容のエントリを書いていた。それこそ一日に100アクセス程の頃だ。しかし、現在は、一切、固有名詞を出しておらず、業務に関係する内容そのものも一切、書いていない。  芸能人や著名な社長のブログでは、「誰それと会って楽しかった」などを書くことを主眼にしているサイトが多数、散見されるが、何らかのきっかけで相手様に迷惑をかけるなどの思わぬリスクが生じる可能性は否定できない。また、そのような「誰と何を食べた」といったエントリ自体も私自身は面白いとも価値があるとも思わない(ただ、最も書く労力を必要としないエントリであり、多忙な社長にとっては書いてしまいがちな事柄であるため、仕方が無い反面もあるとも私は考えている)。  ただ、打ち合わせや会合、会議などで相手の了承を得て、「社長の業務の一環」としてその内容をエントリとして書くことについては否定しない。相手の了承さえ得ていれば、業務の一環として内容の伴ったエントリを書くことは、広報として十分に価値が付加されると私は考える。 2)「多忙で更新できない」というエントリを書かない。  これは推定だが、私のサイトに来訪いただく3割の方はRSSリーダー経由で、これらの方は更新をRSSリーダー経由で把握できる。私は「Weblog・ブログ」というサービスが日本に導入された当初からサイトを開設しており、当時はRSSリーダーなど普及していなかった。しかし、現在、まだまだ多数派とは思っていないがRSSリーダーをご存知の方は、かなり有効利用されていると考える。  よって、少なくともRSSリーダーで私のサイトをご覧いただいている方に「多忙で更新できません」というエントリを書く意味合いはまったくない。たまに「まだ生きています」というエントリを書いたサイトを見ることがあるが、RSSリーダーを使用されている方はもちろんのこと、利用されていない読み手の方にとっても何の利益も意味合いももたらさないと私は考える。  特に「社長ブログ」においては、多忙な時は更新できないことが当たり前だ。日々、更新していた頃も、時間のある帰宅後に文章を書き、時間のある際にアップしていた。「多忙で更新できない」とエントリする時間は1分も必要としないだろう。しかし、そのこと自体をエントリすることは、先に述べたように読み手の方々にとって何の利益も意味合いももたらさない。逆に、従来からご覧いただいている多くの読み手の方々は、恐らく、「今、忙しいから更新が途絶えているのだろうな」とご理解いただけると私は考えている。更新がしばらく途絶えたとしても、続けることが肝要であり、かつある程度、内容が伴ったエントリを書き続けることが「社長ブログ」だけでなく、どんなブログにおいても重要だと私は考える。  「現在、多忙でしばらく更新できません」という一文をエントリとしてアップするよりも、RSSリーダーを利用されていない方を念頭に、「次はいつ頃、エントリする予定です」という情報を提供する方がはるかに有益だ。  ビジネスにおいても、「現在、品切れです」と告知するよりも、「何月何日に入荷予定です。ご迷惑をおかけしますがしばらくお待ち下さい」と書くことが普通であると考えれば、私の主張もご理解いただけるだろう。 3)体調を崩した、入院したなど健康面についてのエントリは絶対に書かない。  私はこの3点目の失敗を既に犯してしまっており、痛切にこの点についての重要性を改めて認識している。数日前、私は「入院しておりましたが、無事、退院いたしました」というエントリを書いた。このエントリを書いた後、親戚からは大丈夫かと電話があり、また打ち合わせなどでお会いした方の約8割の方から開口一番、「体調は大丈夫ですか?」と言われた。恥ずかしく、かつどう答えてよいものか情けない思いが多々あった。  2年ほど前に「風邪で10日程、寝込んでいた」といった内容のエントリを書いた際にも、コメント欄だけでなく、メールや電話などで「その後、大丈夫か」といった問い合わせを多数、頂戴した。  「社長」という職位は誰よりも体力・気力を充実させ、体調管理に気を配り、病気になることや体調を崩すことをしてはならない立場にある。しかし、「社長」も人間であり時には体調を崩すこともある。ただ、それを極めてパブリックなWeblogという場で「風邪で寝込んだ」・「入院した」といったエントリを書くことは、自己管理ができていないことを広く公開しているわけで、「恥をさらしている」ことと同じと言える。  「体調を崩した」・「入院した」といった内容はエントリとしては書き手にとっても書きやすく、読み手の方々にとっても、それなりのインパクトがあることは否定しない。しかし、それ以上に「自己管理ができていない社長」という汚名を残すインパクトの方がはるかに高く、「社長失格」というレッテルを残してしまう高いリスクが伴う。  よって、いくら体調を崩したとしても、いくら大病を患ったとしても、そのことを「社長ブログ」を運営している人間はエントリすべきではないと私は考える。先に述べた「社長失格」という汚点は消し去ることもできず、インターネット上に残り続ける。  以上、この4年間に私なりに思う「社長ブログ」において、できる限り書くべきでないことを3点、まとめた。異論反論をお持ちの方もおられるとは思うが、私はこれからもこの3点のスタンスを守り、エントリを書き続けていきたいと考えている。 ※「ベンチャー社長ブログトップ10位をクリックで確認 ※「特選された起業家ブログ集トップ10位をクリックで確認 ※「新進気鋭アーティスト:鉄人Honey、下記画像をクリック」