ベンチャー企業社長の挑戦、そして苦闘

サン・アクト株式会社というベンチャー企業の社長が語ります。

人生を結果として計画通りに成し遂げられた方に思う

 今日、私宛に一通の葉書が。今までお世話になった京都の誰もが知っている有名大学を昨年、退官された先生から。7、8年前からのお世話になり、静かな面持ちでありながら、時には鋭い示唆を何度も頂戴した。  先生の専門は「熱帯森林学」。何度もフィールドワークとして熱帯地方へ調査に行かれていた。私が副理事長を務めるNPOの理事も退官まで担っていただき、我々の事業の協力や、「琵琶湖疎水」でのNPOと我々の共同研究などにも、お忙しい中、何度も参加いただいた。  大学を退官され、約半年程の今日。先生の葉書にはマレーシアの農学の専門大学の客員教授として12月から赴任されるとのこと。奥様も一緒にマレーシアで滞在されると書かれていた。京都の大学で数十年間、教鞭をとられ、数々の実績を残され、そしてフィールドワークで何度も行かれた場所に奥様共々、じっくりと研究生活を続けられるということ。静かな文面だが先生の喜びが満ち溢れたような葉書だった。  研究者としては最高の人生ではないかと私は思う。退官後、どうされるか先生に聞く立場に私は無かったが、一枚の葉書で、本当に素晴らしい人生の再スタートを迎えられることを知った。先生の奥様も幸せに違いない。  世の中には、いろいろなアプローチで人生や仕事などの自己実現の方法が紹介されている。もちろん私はこれらの手法を否定する立場には無い。ただ、先生の研究者としての生き方には、計画など無かったのではと私は思う。それよりも「研究」というものを常に無心で続けられ、結果として、今回の新たな道を独自で切り開かれたのだと思う。  私も、私なりに人生の計画がある。仕事を引退した後の計画もある。私は引退後、小さなカフェ付きの本屋を開き、本好きの若者たちがゆっくりと過ごすことができる場を提供したいと考えている。カフェでは妻が協力してくれる。  5人の子供を育てること、引退後の我々夫婦の生き方もお互い合意し、今まで生きてきた。しかし、結婚後、予想だにしない出来事が重なっている。私のこのサイトをご覧になっている方は、ある程度、私の過去についてご存知と思うので、深くは書かない。ただ、普通の人なら、まず経験できないような出来事を体験している。    計画通りに人生が突き進むこと、それを予測することは不可能なこと。ましてやあと25年ほどの私の引退後の生活など、想像すらできない。ただ、今回の先生の葉書には、「無心で続けること、やり遂げること」で、結果として良き人生を迎えることができるということを教えられたような気がする。  まだまだ、私の人生は、誰に誇れるものにもなっていない。ただ、お蔭様で、5人の子供たち、そして我が妻と、順風満帆とは決して言えないとしても、毎日を生きている。生きさせていただいているだけでもまずは幸せなこと。  そして、生き続けさせていただけることはもっと幸せなこと。これからも、毎日を懸命に生き続け、少しずつ階段を目に見える形で上っていくことができればなと、今日の先生の葉書を拝見しながら、再認識した。先生のようになりたいとも思った。そして、我が家族も先生のような結果をいつか残したいなとも思った。だから、私は、毎日を懸命に生き続けなければならない。単純なようで一番、難しいことである。 「私も参加している起業家ブログをクリック下さい