ベンチャー企業社長の挑戦、そして苦闘

サン・アクト株式会社というベンチャー企業の社長が語ります。

中学・高校生に税金の仕組みを教える余裕は無い

週刊!木村剛 powered by ココログ」様の今日のエントリーである「収支とコストと資本を教えられる先生はいるのか?

今回の木村氏のエントリーは、国家公務員や関係省庁の度重なる不祥事、また、分かりにくい税制の在り方について等などが発端だと思います。

しかし、すべてのブロガーのTBを私は見た上では無いことを前提に私なりの持論を述べたいと思います。少し怒りを込めて。

(ブロガーの皆さんではなく、教育関連の現場を少しは知っている人間として)

私は職業柄、教育関連についてはある程度、事業として実践し、かつ教育関連の団体の評議員を務め、また、妻も保育士・教師を経験しており、これらの経験として私見を述べます。

しかし、恐らく長文になると思いますので、ご興味の無い方は、あまりおもしろくない話かもしれませんが。

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まずは、基本的な情報から・・・

平成14年度から開始された「新学習指導要領」、その中での大きな変更点は、

1)完全週5日制(土日が休み)=学習時間が大幅に削減

2)教科内容の3分の1を削減=学習内容が大きく削減

3)ITを各教科へ連動=各教科に連動させることは極めて困難

4)総合的な学習を週3時間程度配分=小学生の場合

といった概要です。

これらの状況の中で、「総合的な学習」は、

1)教科書が無い

2)指導目標・指導内容が無い

3)各教科と横断した形態を取る

といった新しい試み、「根本的な教育改革がスタート」されたわけです。

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その背景は・・・

総合的学習は、「児童が主体となって調べ方や考え方を自らが学ぶ能力を短期的ではなく、5年・10年をかけて身につける」ことを目標としています。

「地域・学校・児童の実態に合わせることを主眼としている」ため、「全国共通の指導目標や内容を定めることは不可能」ということで、上述した1)・2)・3)が設定されました。

通常は、学校教育法に基づき、新科目を設定するにあたっては教育研究開発校で10年以上にわたって試行が繰り返され、全国的な実施が決定されのですが、総合的学習は、社会の急激な変化に伴い、10年後まで待てないという現実があり、早期の開始に踏み切ったわけです。

よって、総合的学習は、決まった内容や到達点を教師が一方的に教え込むといった既存の教育手法を根本から覆すもので、かつ、既存の指導方法や児童への評価方法が根本的に転換するもので、教育現場においては、かなりの混乱や試行錯誤が、ここ十数年にわたって生じると当初から指摘されていました。

実際、特に小学校の場合、教師約60%が40代以上という現状で、長年の経験とほとんど関係無い状況下で、非常に教育現場は混乱しました。

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そこで文部科学省の方々は・・・

文部科学省通達として平成15年12月に、

「「総合学習の充実化などを目的とした学習指導要領の一部改正」として、

1)総合的な学習の時間の一層の充実=教育現場にさらにプレッシャーを与える

2)総合学習の目標・内容を定める=やはり目標や内容を設定しないと機能しない

といった、逆戻りの通達を行ったわけです。

お役人の方々は一度、ふりあげた拳は、そう簡単には下ろされないといった感じでしょうか。

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この結果、現在、生じている現象は・・・

1)修学旅行で、一部は従来の観光名所巡り、しかし一部は農業・野外体験など、総合学習の時間を消化。

(こちらについては、大手旅行会社がビジネスチャンスとしてお考えの感もあるかもしれません)

2)土曜日に学校に行くかない子供達が一日中、遊ぶことを避けるため、行政が土曜日に、地域交流という名目で、地元のボランティアと、将棋教室やスポーツ教室などを実施。

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さて、私が言いたいこと・・・

学習指導要領の改正を発端として、子供・現場の先生方、非常に振り回されています。そして、この状況はこれからも続くでしょう。

中学・高校生に「税金」について学ぶシステムを教育現場に求めることに異論はありません。

ただ、そこまでの余裕は残念ながらありません。ましてや、本件について、また指導要領が改正されれば、教育現場は、またまた混乱します。

今、「起業家教育」も学校で導入されています。経済産業省の方針で。こちらについても、先生方にはあまりノウハウが無いため、NPOや企業が参入しています。

各省庁の方針を批判はしませんが、

省庁に振り回されている子供達、教育現場の現状

これだけは知っていただきたいと思います。

今、教師の方々の犯罪等も社会問題化しています。

ただ、少しは上述した「振り回されている」ということが影響している可能性は否定できないと思います。

今回の私見は、少し「教師側」に寄り過ぎの感はありますが。

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最後に・・・

小学生から高校生まで、学ぶ場ではありますが、「人格形成の時期としても」極めて大切な期間とも言えます。

少なくとも私は、高校生までの人格形成の時期を終え、大学では勉強などまったくせずに、やりたいことだけを楽しく続けてきました。

そして、米国でビジネススクールで十分に勉強しました。

しかし、本当の「ビジネス」は、社会人にならなければ学べない・体得できないものです。

そして、「税金」や「社会保障・年金」などの問題は、

役人の方々が、土曜日に子供たちに楽しく、わかりやすく伝えれば良いのです。

もちろん、ボランティアで!!

恐らく、このような取組みをされている行政もあるかとは思いますが、ほとんどの場合、無料法律相談や税務署の無料相談は、極めて少額の礼金で弁護士や税理士の方々が、実施されています。

なぜ、ボランティアで、役人の方が実施されないのか、ここが日本をおかしくしている要因の一つと私は考えます。

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さて、今回のblog、少し長文で、またまた紆余曲折しましたが、少しは同意いただけた方は「クリック」お願い致します。

ありがとうございました!!

まったく前回と違ったエントリーでしたが、こちらも私としては切実かつ重要な問題と思っています。

私は、本当に将来を担う「子供たちの未来」を危惧しています。