ベンチャー企業社長の挑戦、そして苦闘

サン・アクト株式会社というベンチャー企業の社長が語ります。

木村拓也コーチへ

別れ

 木村拓也コーチへ。

 私は思います。貴殿が、まだコーチとして戦っておられることを。

 外形的には、球場で意識を失い、そのまま目覚めることなく、旅立たれました。
 しかし、貴殿の心の中では、旅立ったことすらご存知ないはずです。

 少しだけ、私の経験を。

 私も、過労やその他、いろいろなことが原因で、夜に会社近くの路上で意識を失い、倒れている私を見た近所の方が救急車を呼んでくれました。もちろん、私は覚えていません。
 そして、ふと目を覚ますと、「ここはどこだろう」と周囲を見渡し、身動きが取りにくい状態で、横を見ると妻が立っていました。一晩以上、意識を失っていたようです。その間の意識を失ったという記憶すらまったくありません。

 球場で意識を失ったまま倒れられ、病院に運ばれたことさえ知らずに貴殿は、多くの人々の願いを背負いながらも、目覚めることなく新しい場所に旅立たれました。

 だから私は思うのです。貴殿ご自身は、まだコーチとして戦っておられるということを。

 貴殿の同僚、ご家族、ご友人の皆様が、どのように思っておられるか、私には到底、分かり得ません。

 ただ、私自身は、仕事場である球場で、「おい、次、行くぞ!」とノックをしながら叫び続け、そして試合中、選手を見守り、まだまだコーチとして戦っておられると思っています。

 最後に、私が昨年、久しぶりに夢中になった貴殿の活躍の動画を以下に記録として残し、これ以上の僭越な言葉を発することを終えるとします。

 これからも、いつまでも、コーチのままで。