ベンチャー企業社長の挑戦、そして苦闘

サン・アクト株式会社というベンチャー企業の社長が語ります。

「皆既月食」の夜、想定外の出来事

 昨日の夕方、会社へ戻る途中で、子供たちが何やら懐中電灯を持ちながら、空を眺めていた。

 「あぁ、そうだ、今日は皆既月食の日だったな」とその時に気付いたのだが、曇天の空には、月はまったく顔を出していなかった。昨日は小雨も降っていた。

 帰社後、すっかり月食のことは忘れ、仕事に没頭。

 一段落して、気分転換に外に出たのが21時過ぎ。

 空を見上げると、雲の隙間にくっきりと月が輝いていた。そして、部分的に月が陰っていた。まもなく40歳となる私だが、一瞬、いやかなりの時間、興奮して月を見続けていた。

 昨日の皆既月食は19時過ぎから20時過ぎまで続き、その後、部分月食となるとされていた。私が見たのは紛れも無い部分月食だった。

 私は、携帯電話で時間を見た。21時を少し過ぎたあたりだった。

 少しばかり躊躇したが、携帯電話から自宅の電話番号を数桁、押した。しかし、結局、自宅に電話することをやめた。

 我が家の子供たちは21時に寝ることを基本としている。また昨日は、5人の子供たちの一人が少々、疲れ気味であり、電話の音で恐らく寝ているであろう彼を起こすことを心配し、電話をしなかった。

 部分月食を見て興奮した単純な私は、その後、やる予定だった書類整理は、もう明日にしようと決心し、帰宅することとした。

 自宅近くの駐車場に到着したのが、いつもより早い21時半頃。まだ月は輝いていた。

 寝静まっている子供たちを起こさないように、自宅のドアを静かに開けた瞬間、眼前に想定外の光景が待ち受けていた。

 21時半というのに、次男坊が宿題をやっていたのである。

 そして、他の子供たちも起きていた。今日は「皆既月食」があることを妻から知らされていたのだろう。子供たちも何とか「月食」を見るべく、起きていたのだろう。

 私はすぐさま叫んだ。「月が見えているぞ!」と。

 「月食」の意味がある程度、理解できている小学生の子供たちは、すぐさま部屋から飛び出してきた。しかし、駐車場で見えていた月は、雲に隠れていた。まさに紙一重といったところだ。

 私は、その後、何度も外に出て「月」を見たが、見える「月」は満月状態だった。自宅のパソコンを起動させ、ネットで確認すると、やはり部分月食は21時頃までということだった。

 換言すれば、私が、気分転換に外に出た21時を少し過ぎた時点で部分月食が最後だったということ。そして、躊躇せず、21時過ぎに自宅に電話をすれば、子供たちは少なくとも「部分月食」を見ることができたわけだ。

 もちろん、自宅に電話をしなかったことについて後悔はしていない。昨日の時点での家族の状態から考えても私の判断に間違いは無いと思っている。

 ただ、20時頃に仕事が一段落し、気分転換に外に出て「月食」を見れば、躊躇無く、自宅へ電話しただろう。

 いずれにせよ、その後、子供たちに「月食」は今晩は見ることができないことを伝え、彼らは寝室へ戻っていった。数分後、次男坊も宿題を終え、「おやすみ」とお互い、声をかけ、彼も寝室へ入っていった。

 その後、私の夕食の時間となった。夕食を終えた私は、見えるはずも無い「月食」が、もしかすれば見えるかもしれないと非科学的な思考回路で何度か自宅の外から「月」を眺めた。もちろん、何も変化の無い「月」が輝いていた。

 日本で次に皆既月食が見られるのは、2010年12月21日とのこと。3年後の12月21日が、どんな夜になるか想像もできない。

 もしかすれば、30年後くらいには家族全員で宇宙船に乗って「月への家族旅行」に行っているかもしれない。ただ、その頃には子供たちにも家族が出来ている頃だろう。

 科学の進歩によって、30年後の宇宙船の定員が最低でも20人、乗船可能年齢制限70歳以上であることを今は願うしかない。

 その日が来ることを夢見て、いや、実現することを確信し、私も仕事を続けよう。昨晩の想定外の出来事で、新たな楽しみが増えたことだけでも嬉しいことだ。

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