ベンチャー企業社長の挑戦、そして苦闘

サン・アクト株式会社というベンチャー企業の社長が語ります。

夏祭りでも、クール・ビスができない一人の有力政治家

 今週末の土曜日、恒例となっている地域の夏祭りが開催された。

 家族全員で夕方16時に地元小学校に向かった。

 小学校に到着後、夏祭り開始直後でありながら、どんなイベントにも、なぜかいつも設置されている「来賓席」に国会議員・府会議員・市会議員各位が来賓席に座っておられた。

 各議員とも、半袖・ノーネクタイといったリラックスした「クール・ビズ」の洋姿。しかし紺色のスラックスだけは共通していた。ある党の女性議員の方だけは、違和感の無い、普通の洋装であったが。

 夏祭りの最初に食べるものと言えば、まずは「焼き鳥」だろう。あるいは「冷たいジュースか、カキ氷」だろう。

 しかし、来賓各位は、なぜか全員、「ぶっかけ冷やしうどん」を食されていた。

 「冷たいうどん」は祭りの途中か最後の締めに食べるものであると自負している私は、焼き鳥の行列に並んだ。「焼き鳥」を食したのが、およそ16時半頃。

 16時半過ぎに、ある「有力議員」が登場。夏祭りだけでなく、各種のイベントに必ず顔を出される「有力議員」である。何といっても、私の住んでいる地域が地盤なのだ。年賀状もなぜか毎年、頂戴する。

 「有力議員」が到着された瞬間に「ぶっかけ冷やしうどん」を食されていた議員各位は、食べかけの「うどん」を「来賓席」から置き去りにし、一目散に「有力議員」を先頭に、夏祭り会場の出店それぞれに挨拶を開始。

 「有力議員」は、夏祭りの各店舗それぞれ、丁寧に回られ、挨拶や頭を下げておられた。

 「有力議員」に属する政党の各議員は、「有力議員」到着前に、それなりに「空腹感を満たす行為」をしていたことなど、微塵にも見せず、再度、「ぶっかけ冷やしうどん」を注文されていた議員各位もおられた。その気持ちは理解できる。そういうものだろう、政治に関係なく、社会、人間関係というものは。

 「冷やしうどん再注文」はともかく、「有力議員」だけが、紺色のスラックスに、紺色の上着を着ておられる。そしてピンク色のネクタイ。真夏ではあるがフル装備である。

 「有力議員」がフル装備でありながら、その他の国会議員、府・市会議員は、極めてリラックスした姿。そこに大きな違和感が少なくとも私にはあった。

 この光景を、様々な地元のイベントで、いつも見ている。本当にいつもの光景である。クール・ビズが始まってからも、彼の「フル装備」に変化は無い。

 恐らく、もう少し、「有力議員」が生真面目なところを少しだけ緩めることで、ファンが増加すると、次のように誰もが思っているだろう。

 「前原誠司様」、もっと気楽に、気軽に、庶民の目線でお会いしたいなと。

 そして、彼は、せっかくの「夏祭り」というのに、何も食することなく、15分程で去っていった。他の議員各位も再注文した食べかけの「ぶっかけ冷やしうどん」を置き去りにして、あっという間に去っていった。

 「焼き鳥」くらい、市民と一緒に食べられたらどうだろうか。他の地域でも同じように「夏祭り」が開催されているとは思う。しかし、焼き鳥1本くらい食べても、支障は無いだろう。

 と、書きながら彼の立場を考えた。

 「焼き鳥」だけを食べると、例えば、みたらし団子など他の店で出されているものすべてを食べなければ不公平感が生まれる。すべてを食べてしまうと、他の夏祭り会場でも、すべて食べなければ、これまた不公平感が残る。そしてすべての会場ですべてのものを食べることは現実的に無理な話。

 このようなことは、普通の市民はまったく考えないと思う。「焼き鳥」を市民と共に食する姿を見る方が好感を抱くだろう。ただ、数名の市民が、「焼き鳥」だけ食べて、すぐにあの男は帰った、と思う可能性も僅かにある。

 それなりの地位となった政治家というものは、大変な任務だなと、深々と考えた次第である。そして、それなりの立場では無い政治家の姿、振る舞いの大きな違いにも、何とも言えない思いを感じた。

 しかし、それなりの立場ではない政治家各位は、他の夏祭り会場でも来賓席で出されたものを、いくら満腹であっても笑顔で食べなければならないことを考えると、これまた大変な話だと思う。

 何度か「来賓席」なるものに座ったことがある私だが、政治家でなくて良かったと心より思う次第だ。

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