ベンチャー企業社長の挑戦、そして苦闘

サン・アクト株式会社というベンチャー企業の社長が語ります。

樹木診断、樹木内部画像診断サービス、ひとまず成功

 「社長、今から出ます。」と会社から朝8時頃、私の携帯電話へ連絡が。 「了解、待ってます。」と自宅で待機中の私。十数分後に自宅で社員の車に乗って現場へ。  昨日は朝の8時でしたが、早いときは7時頃に自宅から現場へ出発という日もありました。さて、9月27日付けのエントリである「雨よ絶対に降らないで下さい。」から、昨日でさらに一段落しました。 参考:「最新非破壊樹木診断  数年前は、樹木の内部を調査する装置としては、下の写真のような装置がありました。  高回転で樹木内部にワイヤーのようなものを貫通させ、圧力の違いによって、内部状況を測定するもので、下のようなグラフが出力され内部を解析するわけです。グラフは一部のみ表示していますが、折れ線グラフの高いところが圧力が高い=樹皮・内部等が堅い、グラフが低いところは圧力が低い=幹内部に空洞が生じている可能性があり得る、などの推定ができるわけです。しかし、この装置は幹内部測定が最大で約50cm、かつ一方向のみの結果、グラフ自体が読み取りにくい、そして最も重要なことですが、一目で樹木内部の状況がわかりにくいという難点がありました。(冒頭の写真が調査対象樹木で、外観上も健全ではないと言えますが)
(上記3点の画像はサン・アクト株式会社及びNPO法人グリーン・エンバイロンメントに帰属します。)  (この画像は当社及び有限会社テラテック様に帰属します。)  そこで開発されたものが、PICUS Sonic Tomograph(弾性波樹木断層画像診断装置)という装置で、現在、我々は、日本で最大級(日本では最も大きな幹周りの樹木を測定できるという意味)の機器を単独保有しています。ここ数週間、通常の衰退樹木回復事業と並行して、この診断装置を使い、各種樹木を測定してきました。  この装置は簡単に説明すると、樹木の幹周囲にセンサーを取り付け、センサーが拾う音の速さの強弱をプログラム処理し、幹内部全体を画像化するものです(厳密な説明とはなっていませんことをご了承下さい)
(以下からの画像はサン・アクト株式会社に帰属します。)  こちらが、実際の樹木断面です。  こちらが装置を使い、画像処理したもので、茶色の部分が堅密な部分、緑色が腐りかけている(=柔らかくなっている部分)、赤色が腐っている部分(=かなり柔らかい)、水色が極めて柔らかい部分(=空洞化している可能性もあり得る)、といった結果を瞬時に出力してくれるものがPicus(ピカス)というこの装置なのです。  ご紹介している写真では、わかりにくいかもしれませんが、かなりの精度で樹木内部の解析が可能となっています。実際は、まだ伐採されていない樹木を測定するため、外観診断(=どこを測定部位とするか)、画像結果(=外観診断結果や予想される画像を得られているか)など、総合的な診断・判断が必要となります。  少し極端な例ですが、人間で言えば、実際は、肺に病気があるのに、腸にレントゲンを投射し、この患者さんは何の病気も無いと診察してしまい、結局、患者さんは誤診でつらい思いをされる、といった同様の状況がこの装置を利用する際にもあり得るわけです。  よって、一本の樹木に対して、どこにセンサーを設置するか、画像診断を複数部位することで被害拡大状況を把握する必要があるかなど、装置をいかに有効活用するかというオペレータの能力も必要とされるわけです。  さて、この樹木内部画像診断ですが、「貴重な樹木の診断」・「強風等で倒木の危険性があるかなどの把握」、さらには、重要な建築物横にある巨木が倒木し、文化財等が崩壊しないかなどといったものがクライアント様側のニーズとなります。  今回はこの装置を利用し、診断を実施したわけですが、本当に様々な場所で測定しました。多くの方々がご存知の公園や寺院、さらには写真のような林の中など。
 この装置による測定は、センサーをハンマーで打ち、音波を発生させる人間と、その音波をパソコン上で解析し指示をする人間の2人が最低限、必要となります。ハンマーを打つ人間は、写真のような格好で待機し、パソコンの出力結果を見ている人間の指示通り、何回も各センサーをハンマーで打ちます。そしてパソコン担当者はプログラムの画面を凝視し、ハンマーの打音結果が正しいかどうかを見極めなければなりません。
 このような森の中でも、今回、測定を実施したわけですが、お蔭様でイノシシやサルは出没しませんでしたが「蚊の大群」が来襲しました。しかし、測定が始まると、ハンマーを打つ人間はハンマーを持つ手を動かすことはできず、かつパソコン画面を凝視する人間は顔を動かすことができません。よって、一人は手が、一人は顔が蚊にとって最高の場所・獲物となったようで、二人とも測定後は、凄い状態となっていました。 (顔が凄い状況になったのは私です。現場から帰宅し、着替えて会合に出かけようとした私も躊躇した程の状況でした。)  さて、今までご紹介してきたように数週間、連続ではありませんが、診断業務を実施しました。「PICUS」は精密機器ですが、野外で使用するため、ある程度のアクシデントが発生しました。そのたびごとに、サポートいただいた輸入元の業者様にまず、感謝申し上げます。(コメントは可能であれば、ぐっとこらえて差し控えてくださいませ、業者様。)  そして、詳細は書けませんが、この私の拙いブログがきっかけで、この装置を当社が保有することができました。この方にも心より御礼申し上げます。また、今まで私がある程度、中心となって、解析を進めてきましたが、今回の数十回以上の測定で、社員自身にもノウハウが蓄積されました。いずれにせよ、私一人では画像診断は実施できません。我が社員にも感謝です。  そして、最後に、このような樹木内部画像診断をご発注いただいたクライアントの皆様方に厚く御礼申し上げます。 ご注意下さい:  このエントリで掲載している画像はすべて今回の診断とは関係の無い以前の診断風景等の画像です。ご理解の程、よろしくお願い致します。