ベンチャー企業社長の挑戦、そして苦闘

サン・アクト株式会社というベンチャー企業の社長が語ります。

腹八分目で行こう

過日、地下鉄の切符売り場付近で修学旅行生らしき学生さんが地図を片手に議論していました。どうもどの路線に乗れば良いのか迷っている様子でした。いつものことながら、私は「どうしたの?」と彼らに聞きました。彼らは地図を見せて「ここに行きたいのです」との返事が。「あぁ、それならこの路線に乗って行けば良いよ」と私。

「気をつけてね」と言おうとした私ですが、その前に「今日は、他にどこを見に行くの?」と聞くと、一日では回りきれない程の観光地めぐりでした。いくら観光名所が多い京都とは言え、これでは観るだけで雰囲気を味わう、思い出に残すことなど到底、無理だと感じました。

「君らなぁ、ちょっと行くところ少なめにしたら?」と私。

「そんなに多いですか、行くところ」と彼ら。

「君ら、腹八分目という言葉を知っている?」と私。

「何ですか、それ?」と彼ら。

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どうも最近の若い方は「腹八分目」という言葉を知らないようです。もちろん、今回、出会った彼らだけかもしれませんが。

一時期、ノーベル平和賞受賞者のワンガリ・マータイ女史によって、一挙に世界的に有名になったかのような「MOTTAINAI(もったいない)」。「もったいない」も優れた言葉かもしれませんが、考えてみれば「腹八分目」の方が、優れた言葉かもしれません。

その時はおいしくて知らぬ間に食べ過ぎてしまい、翌日、後悔する。また、喋り過ぎ、はしゃぎ過ぎなど、その瞬間は意識しなくとも後で必ず後悔する。どんな行動においても「腹八分目」でやらないと自分だけでなく他人まで不幸にしてしまう可能性があります。

ちょっと、自分では物足りないかな、と思う程度が良い結果を生み出すと言えるかもしれません。

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昨今の環境問題。

「腹八分目」で物事を捉えると、バランスが取れてくるのではと思います。コストと効果を考え、その時代、場所に応じた解決策を見い出す。「環境」ばかり意識するとコストを度外視した安易な行動に陥りがちになるだけでなく、誰かがマイナスの影響を受けます。人間だけでなく生態系も含めて。

昨今の企業が提供するサービス。

毎日のように新製品・新サービスが出てくる時代になりました。もちろん企業間の競争や企業努力は必要だと思います。ただ、数ヶ月ごとに新しい製品に変わり、逆に数ヶ月前の製品は使えなくなるなど、どうみても頭をかしげるようなモノもあります。「腹八分目」で企業も消費者も意識を変えれば、このように新製品・サービスがなくても豊かな生活を過ごすことができることに気付くのではないでしょうか。

昨今の報道のあり方。

「腹八分目」の気持ちで報道する側も受け入れる側もやればよいのではと思います。人それぞれ、お腹の好き具合は違います。しかし、「これでもか」というくらいお腹一杯に報道すれば、ある人は胃炎になり、ある人は心を痛める。逆に報道を受ける側は毎日、満腹状態になれば、さらにもっと食べたいと貪欲になり間違った情報も確かめることなく受け入れてしまうという危険性もあります。感覚が麻痺するということでしょう。

昨今のブログの現状。

私の印象だけの論拠なのですが、ここ数ヶ月でかなりブロガーが増加している感があります。ただ、ブログを立ち上げてもあまり続いていない、更新されていないブロガーも多いと思っています。また他人のブログをつぶすことだけに専念している人間もいるような気がします。少なくとも私がブログを始めた一年以上前には「炎上」などという言葉は無かったと記憶しています。「実名」で今まで私はブログを運営し、それなりに誹謗中傷を受けましたが、私が他のブログを潰そうなどとは一切、思ったことはありません。

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私が米国に滞在していた時は、太った方はそれだけで「自己管理ができていない」とみなされキャリアがマイナスになっていました。恐らく今もそうかもしれません。

Moderation is the best medicine.(腹八分に医者いらず)という言葉があります。

医者が必要になる前に、手遅れになる前に日本人一人一人、そして日本社会全体が自ら管理できるように、何においても「腹八分目」の意識・行動でやればということを再度、提議したいと思います。

蛇足:

今回のエントリ、私はもう少し書きたいのですが今日は「腹八分目」で終えることとします。