ベンチャー企業社長の挑戦、そして苦闘

サン・アクト株式会社というベンチャー企業の社長が語ります。

あっ、しまった!!

それは先週の木曜日の晩のことでした。

私は、極めて集中して仕事をしていたのですが、ふと時計を見ると午後9時半近くでした。「あっ、しまった」と叫びました。そう、私は約束があったのです。

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実は新しく構成された「どっちの料理ショー」を子供と見る約束をかなり前からしていたのです。私も楽しみにしていたので時間に気付いた私は、必死になって帰宅する準備を終え、駐車場まで走りました。駐車場へ向かう途上で心の中で、「あぁ、今日は野球中継だから、番組延長されるはずだ!!」と藁をもすがる気持ちになりながらも。

ビールを飲みながら料理ショーを見るのが通常?なので私はいつもの酒屋に寄りました。

(以下、関西弁の会話ですが、標準語仕様で。」

「こんばんは」

「は~い」

いつものように酒屋の奥さんが出てきました。

ビールを手に取り、支払いを済ませようとしたところ、奥さんが話し始めました。

「ちょっと、社長、聞いてくださいな」

「何ですか?」

「いや、この前、JT(日本たばこ産業)が来られまして」

「はい(私は早く帰りたいのだ)」

「いやね、JTさんがね、タバコを置く位置を変えなさいと言われまして」

「それまた、どうして?」

奥さんいわく、最近の町の酒屋さんでは中学生や高校生が外で大声を出したり、窓を叩いたりして、主人をおびき寄せ、その間に別部隊がタバコをカートンごと盗むことが多発しているそうです。それでタバコがすぐには手の届かない高い場所に配置するようJTさんによる指導があったそうです。

とまぁ、ここまでの話で10分。あと15分で22時になってしまいます。

「いやまぁ、大変ですね。そこまでしますか、世間の中学生や高校生は」

「そうなんです。私の息子もね・・・」

奥さんいわく、息子さんが中学生の時、よく同級生からお金をとられたそうです。何でもサラリーマンの子供をターゲットにするのではなく、自宅で商売されている家庭の子供がターゲットになりやすかったとのこと。サラリーマンと違って毎日、お金が入る=日銭の商売をされている=小遣いを持っている=ターゲット、という図式だそうです。

「いやまぁ、大変ですね。今も昔も変わらないんですね」

「そうなんです。私の娘もね・・・」

とまぁ、ここまでの話でさらに5分。娘さんの話を聞く時間はありません。

もう、料理ショーは「今日のご注文は、どっち?」と叫んでいる時間帯かもしれません。そこで私は「どっちの料理ショーを見たいので」なんて言ってしまうとまた会話が盛り上がりそうなので、必死に理由を探して会話を終了することに。

「すいません。今日は野球中継を見たいので、帰ります」

「社長、野球中継、今日はもう終わってるんじゃないですか。8時台に9回の攻撃だったと思いますよ」

「いや、この頃、巨人は投手が終盤に打たれたりするので、まだやっていますよ。絶対に」

「それじゃ、私のところで野球やってるか確認しましょうか?」

「いや、野球というものはビールを飲みながら自宅で、というのが定番でしょ。それでは」

とまぁ、最悪だ、と心の中で叫びながらも、車に飛び乗り、自宅へ。そして野球中継延長を夢見ながらも一目散にTVがあるリビングへ。時刻は、もうすぐ22時。

「お帰り、お父さん」

「どうして、TV消してるの」

「今、終わったところ。今日は天丼が勝ったよ」

「すまんな、約束してたのに。一緒にTVを見るって」

「いいよ、また来週、一緒に見よう」

「それで、料理ショーに出た一般の人はどんな人だった?」

「う~ん・・・」

「男の人、若い人、女の人」

「う~ん・・・、普通の人」

「わかった、それじゃ来週は絶対、一緒に見よう」

とまぁ、そういうことで、小学4年生の息子は寝てしまいました。

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ビジネスにおいて私は、突然の見知らぬ来客や、早く終わらせたい打合せなどは、社員に依頼して決まった時間帯に私の携帯電話を鳴らしてもらうことをきっかけに終了させています。どうも、性格上、腕時計をちらちら眺めて、時間を気にしているふりをするというのは好きにならないのですが、携帯電話攻撃は、余程のことがない限り、有効です。

かといって、今回のような会話が続く場合、いくら何でも社員に携帯電話を鳴らしてもらうわけにもいきません。さて、こういった場合、皆様、どのようにして会話を中断させておられるでしょうか? 

これ以上、息子の約束をやぶるわけにはいきません。私の家族が円満にこれからも続くために。できる限り、皆様のお知恵を拝借したいと思います。

大切なことですが、約束を一度、破ってしまうと、いくら子供達に約束しても、その約束は約束ではなくなり、「どっちにしても、お父さん、また帰ってこないだろうな」という意識が先に立ってしまいます。いくら家族は大切といっても、土壇場でキャンセルになる可能性がある立場に私はいるので、家族旅行も行くことができると確定した当日の朝に、突如として子供達に「今日は旅行だ!!」と宣言するほどです(これはこれで子供達、大喜びですが)。「家族旅行に行く」と子供達に事前に伝えて、当日、やはり行けなくなったことは今のところありませんが、もしものことを考えると当日宣言にならざるを得ません。

それほど、「約束」とは大切なもの、「約束を破らない」ことを常に心に留めておくことだと私は思っています。仕事のアポは余程のことが無い限り、忘れません。しかし、子供との約束は忘れることよりも、破らない、できない約束はしない、ということかもしれません。

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昨日、宣言した通り、月曜日からTea Timeカテゴリです。

お蔭様で、多忙です。今週の木曜日に早く、帰宅できるように業務優先ということでご容赦を。

ではこれにて。