ベンチャー企業社長の挑戦、そして苦闘

サン・アクト株式会社というベンチャー企業の社長が語ります。

自分の路を今も支えている一冊

Marketing Management,  11th Edition Marketing Management, 11th Edition Philip Kotler  マーケティングを少しでも学んだ方はご存知の定番、それが「Philip KotlerのMarketing Management」。私も留学時代に、徹底的に読みこなしました。今でこそ、他にもマーケティングの書籍はあるかもしれませんが、当時は、まずこの本でマーケティングの基本を学ぶことが第一歩でした。  米国留学時代、ビジネススクールでマーケティング以外にも経営学の様々な分野の書籍を読みましたが、私の会社の本棚に唯一、生き残った本、そして常に置かれてあるものがこの「Marketing Management」です。私が持っているものは7th Edisionなのですが、約750ページの至るところに付箋が付けられたりマーカーで線が引かれたりしています。  私は、ビジネスのアイデアに行き詰まったとき、この戦略で正しいのかなと疑問に思ったとき、そんなときに付箋やマーカー部分を読むと、「おぉ、このアプローチがあったか」、「うん、この流れで問題はないな」といった根幹部分での問題解決はなされなくとも、精神的に補完してくれる、私にとって「苦しい時の神頼み」的な「辞書」のような存在です。  マーケティングに関連する本は世間に多数あり、今回、ご紹介している「Marketing Management」がマーケティングの本として最適と私は言っているわけではありません。ただ、マーケティングという分野を凌駕し、時には笑い、時には泣いた留学時代の思い出がつまった私にとって大切な一冊なのです。  さて、過去に「外部に様々な応援団をつくる」といった記事を書きました。この男には損得勘定無しで応援してやろうという外部の人間が多ければ多いほど、経営難に遭遇しても乗り越えられるといった内容です。そうです、私にとってこの一冊は、人間以外の数少ない私の応援団の一人なのです。本棚からいつも、この本が私を見守り、苦しいときは助けてくれる、影ながら応援し、常に私を支えていてくれているのです。  今、新入社員の皆さんは日々、格闘している頃だと思います。本を読む暇なんか無いと言われるかもしれませんが、是非とも自分の応援団になってくれる本を探す、獲得することを心掛けていただければと思います。もちろん年齢と共に応援団になってくれる本が変わっても良いですし、一冊だけではなく、数多くの本が応援してくれるほうが頼もしいかもしれません。  経営に関する本を読むことが必要と私は言っているわけではありません。たまたま私は経営者であり、自分の経営における進路を支えてくれる一冊として今回、「Marketing Management」をご紹介しました。様々なジャンルの本を読み、本というものが社会人としての毎日に大きく影響を与えるものであり、できる限り、多くの本を読みこなすことが人間としての人生の糧につながることを心にとめておいていただければと思います。  最後に。  可能であれば、原著を読むことをおすすめします。洋画で字幕入りを見ることと同じかもしれません。また、経営に関する日本語翻訳版は図表などが大幅に削減されていることもあります。そして、すべてとは言いませんが、原著が訳されてしまうと何か大切な部分が削ぎ落とされてしまう感が私にはあります。この感覚を養うこと、気づくことも重要だと思っています。これらの意味で「Marketing Management」は原著の世界へ導いてくれる最初の入り口になるかもしれません。 さぁ、新入社員の皆さん、自分の応援団を探しに本屋へ行きましょう!!