ベンチャー企業社長の挑戦、そして苦闘

サン・アクト株式会社というベンチャー企業の社長が語ります。

「エコ」から脱皮していただきたい

昨日、テレビを見ていたところ、ある大手企業の新製品のCMが眼にとまりました。まだ、「エコ」といういわゆるエコロジー・エコグッズ的な位置付けで商品アピールというより商品そのものに「エコ」というキーワードを使っておられました。

もちろん大手企業の最新の技術力で、環境に最大限配慮された製品・商品であることは間違いないと思います。そして、消費者にとっても、「エコ」という言葉は、もう聞き慣れた言葉であり、エコ=環境配慮型という意識が潜在化されているのが現状だと思います。

残念ながら、この現状を打破することは、極めて困難だと思います。「エコ」というキーワードは、ある意味、ブランド化していると言っても過言ではないでしょう。しかし、大手企業の方々を含め、「エコ」だけでは、地球環境は改善されないことに早く気付いていただきたいのです。

製品名やCM等で「エコ」を付加するだけでは、大きな付加価値・差別化を図ることはできないということは、大手企業の方々も既にご承知のはずです。しかし上述したように、日本人の意識としての潜在化、「エコ」がブランド化している現状では、他に製品を表現する方法が無いのかもしれません。

そこで、昨今、少しスタンスを変え、欧州から生まれたであろう「スローライフ」や「スローフード」という言葉が、流行りはじめたのかもしれません。

少し視点を変えて、お話したいと思います。

十数年前に青森で私がお付き合いしていた無農薬リンゴ農家の方。その当時は、地元では非難の対象でした。なぜなら、

無農薬でリンゴを栽培する=どうしても病害・害虫が発生する=無農薬リンゴ畑が病害虫の発生源となる=農薬を使っている周辺のリンゴ畑にも被害を及ぼす。

という論理でした。

それが、今では「スローフード」という位置付けで、地元だけでなく、全国で講演をされるなど脚光をあびておられます。私としてもうれしい反面、手のひらを返したような周囲の人間の態度には、少し違和感を覚えます。

無農薬リンゴ農家の方自身が一番、そう思っておられるでしょう。邪魔者扱いされ続けて数十年、それが、ある意味、時代の流れという薄っぺらい論理で、英雄扱いにされてしまっているのですから。

また、少し違った事例ですがご紹介したいと思います。

10月3日に北九州市で、「まち美化でギネスに挑戦」ということで、ごみ拾いイベントが開催されました。今回で3回目のイベント、そして7万人以上の方が参加され、3度目の正直ということで、ギネスブックに掲載を申請されるとのことです。北九州市は、市でゴミに関する条例を策定されており、その流れ・一環としてこのイベントも位置付けられると思います。

北九州市の方々の取組みを非難するつもりは毛頭ありません。また「ギネスに挑戦」という分かりやすい目標を立てられたイベントについても、今後、さらに発展していくと思います。

ただ、日本人全体に言えること。

それは、

ゴミ拾いをする人を増やすのではなく、ゴミを捨てる人をまず、無くしていかなければならない。

ということです。

以前の私のエントリーに富士山でゴミを無くし、世界遺産登録を目標に努力されている野口健氏のお話を紹介させていただきました。野口氏は、富士山の樹海でも、ゴミを拾っておられます。多くは産業廃棄物などですが、明かに個人が捨てたようなものまであるとのことです。まさに樹海は日本のゴミ問題の縮図とも言えます。

どうみてもゴミを拾う人よりも捨てる人の方が多い、あるいは変な言い方かもしれませんがスピードが早い、追いつかないのが現状なのです。

しかし、過日、子供達の運動会があったのですが、もちろん運動会のグランドでは禁煙です。私がうれしかったこと。それは、ほとんどの喫煙者の方が、校門を出て、そして携帯灰皿を持って、タバコを吸っておられました。この違いはどこにあるのか、少しうれしい疑問でした。

さて、前置きが長くなりましたが、私が言いたいこと・・・

いつも、私がこのブログで何回も主張していることです。「エコロジー」で、物事を考える時代は、既に終わっているということです。「環境」=「エコロジー」ではなく、「エンバイロンメント」に意識を早く向けないと、日本は危険な時代に突入しているのです。いくら高性能な「エコグッズ」が世の中で使われても、あるいは再生可能な「エコグッズ」であっても、捨てる人は捨ててしまうのです。

「エンバイロンメント」という人間環境・社会環境・地域環境まで考慮した、製品や仕組みを作らない限り、ゴミ問題ももちろん、青少年の凶悪な犯罪も増加していく一方ではないでしょうか。

(青少年の犯罪原因がこれだけの理由ではないことは、もちろん承知しております。)

今、大手企業の皆様は、「エンバイロンメント」の視点で、社会貢献活動や環境貢献活動をボランティアといった形で実践されています。企業の方は意識されていないかもしれませんが。そうではなくて、まず、「エコ」に加え、「エンバイロンメント」の視点で「ものづくり」や「サービス」を提供、あるいは仕組みをつくっていただきたいのです。もしかしたら、その方が売れるかもしれません。

難しいことかもしれません。ただ、公共事業では、市民の意見を反映させた市民参加型公共事業が、まだまだ歴史は浅いですが、始まっています。自分が毎日、子供達と遊ぶ公園に自分の意見が反映されれば、そして実現されれば、自然と落ち葉拾いや公園の清掃もするのではないでしょうか。

これは一例に過ぎません。今回のエントリー、少し長くなりました。そして少し焦点も定まっていません。今後、もっと具体的な提案を私のブログでさせていただきたいと考えています。