ベンチャー企業社長の挑戦、そして苦闘

サン・アクト株式会社というベンチャー企業の社長が語ります。

サクラの天然記念物調査続報第二弾

 ちょっと遅くなりましたが、徳島の天然記念物ヤマザクラの調査続報です。5月31日早朝に宿泊地を出て、現地へ。ふもとから、対象樹木があるところまで急勾配の山道を上がること1時間余り。町長様から県の教育委員会の関係の方、そして町の小中学生、マスコミの方々など勢揃いでした。 参考:「最新非破壊樹木診断  山道の途中(ほとんど杉林)で、ヤマザクラが数本ありました。専門用語ですが「被圧といって、杉の影響で、ヤマザクラの成長がとまっているのが見受けられました。要するにヤマザクラの方が自然に先に植生されていたのに、その周辺に杉を植えたため、杉が成長して、ヤマザクラに日光が当たらなくなって、サクラが衰退してしまった」ということです。恐らく、対象樹木である山頂のヤマザクラもそうではないかと推察される事例が途中であったということです。  1時間かけてやっと対象樹木であるヤマザクラにご対面。残念ながら無残な姿でした。杉の被圧を受けて、ある一本の大枝が衰退し、その影響で全体が衰退という状況でした。  内部構造を調べるPICUS(弾性波測定装置)やデジタルマイクロプローブ(ワイヤーを樹木に入れ込んで内部構造を調べる機器)で見て、内部構造は空洞・腐朽が進んでいることが確認されました。  さらに成長錘で樹皮を抜き取って、活性度合いがあるかどうかを調べるテトラゾリウムという試薬で試験したところ、ほとんどの形成層は活性度が無いことが判明。結局、対象樹木に一本だけ生き延びている枝を生かすしか、ヤマザクラを残していくことはできないという結論となりました。  専門的なのでこれ以上の説明はやめておきますが、天然記念物である樹木については、定期的に巡回し、状況を確認し、適切な処置を行うこと大前提です。今回のヤマザクラは樹齢約500年。500歳の人生の先輩を放置したままというのはいくらなんでも、つらい思いが残ります。