ベンチャー企業社長の挑戦、そして苦闘

サン・アクト株式会社というベンチャー企業の社長が語ります。

鳩山総理が国家の最高経営者として発言した最悪の言葉

鳩山総理

 私が社長である会社は極めて小さい。ただ、今の政治の混迷を予想し、この混乱は確実に中長期には影響を受けると想定し、今までそれなりに最大限、政権批判と関係なく、会社を「延命」させる準備をした。ただ、過日の鳩山総理の以下の発言は、社長として「それを言っては、お終いだよ」と思う、強烈な怒り覚える言葉だった。

 それは、「2月12日の報道」だ。信じられない言葉が我が国の最終経営者として発せられている。以下、報道内容を引用する。

「国民に分かってもらえない」=首相、支持率急落にぼやき?

 鳩山由紀夫首相は12日夜、首相官邸で女性の首相番記者から一足早いバレンタインのチョコレートケーキを贈られた。この後、記者団から「この1年、甘いケーキを前に一番苦かった思いは」と問われると、「自分なりに精いっぱいやっているつもりだが、国民の皆さんに分かってもらえない時、つらい、苦い思いをかみしめている」と心中を吐露した。内閣支持率急落も頭をよぎったようだが、最後は「甘い思い出もたくさんあります。皆さんに甘いケーキを頂いたことを感謝します」と気を取り直していた。

 首相は、会社で言えば社長。報道内容を私の会社として置き換える。
「社員・取引先・お客様・株主に分かってもらえない」=小島社長、ステイクホルダーの支持率急落にぼやき?

 サン・アクト株式会社の小島愛一郎社長は12日夜、社内で、女性社員から一足早いバレンタインのケーキを贈られた。この後、とあるパーティでの公的なスピーチ会場で「この1年、甘いケーキを前に一番苦かった思いは」と問われると、「自分なりに精いっぱいやっているつもりだが、社員や取引先、お客様、そして株主の皆様に分かってもらえない時、つらい、苦い思いをかみしめている」と心中を吐露した。社長の信頼の低下がよぎったようだが、最後は「楽しい思い出もたくさんあります。皆様に楽しい激励を頂いたことを感謝します」とその場をしのぐ言い訳をしていた。

 と、このようになる。

 上述の首相発言は、私なりの置き換えだ。その意味で、極めて重要なことだが、今回、紹介した日本の経営トップである首相発言は公的、そして内外において、絶対に口にしてはならない、発してはならない言葉だと私は思う。

 バレンタインのケーキ云々は、この際、論外としよう。

 上述のように、鳩山首相は、私的でなく公の立場で、「自分は精一杯、やっている。しかしそれをわかってもらえないことに、つらく、苦しい思いがある」と発した。

 私も十年以上、経営者の立場にあるが、「自分は一生懸命、経営を行っている。しかし、その姿勢をわかってもらえないことは、つらく、苦しい」という表現を、社内外を含め、誰にも言ったことは無い。そして、絶対に言うべきものでもないと考えている。妻だけに僅かばかりの心情は吐露するが、それ以外の人間に自分の苦しみを話すことは皆無だ。

 換言すれば、「自分は頑張っているが、その姿勢を理解してもらえない他人の方々の思いは理解できず、つらい」ということとなる。これを国家の最高経営者が公の表現として発するべきものだろうか。

 簡単な話だ。

 社員に対して、「社長である私は頑張っている。でも君はわかってくれていない。つらく、悲しい話だ」という内容と同義だ。同様に「当社は、お客様に対して最大限、努力しております。ただ、その努力についてお客様がご理解いただけないことについて悲しく思っております」とお客様に直言したことと同義だ。
 お客様にそんなことを言えるはずもない。これは社長だけでなく営業マンでも同じことだ。いわゆる「責任転嫁」と捉えられても仕方が無い発言となり、お客様は必ず激怒される。

 少なくとも、鳩山総理のような発言を表明する経営者は私の知る限り皆無である。

 自分の努力不足を社員やお客様に責任転嫁し、それを理解してもらっておらず、つらく、悲しいと言う発言、あるいは態度は、瞬時に会社を取り巻くステイクホルダー各位に見放されることは間違いない。

 もっと単純に考える。

 あなたが、経営者トップで無く、学生・社員であったとしよう。
 小学生の場合、試験結果が悪かった場合、「自分は頑張った。結果はともかく、その努力は認められないことは残念だった」と両親に伝えることと同じだ。両 親はどう思うだろうか。子供が頑張っている姿を見ている心ある親であれば、「良く頑張った。次からは何とか結果を出そうね」と言うだろう。ただ、もし大学 生・大学院生レベルの場合、試験結果が悪かった場合、心ある親であったとしても「次こそは必ず良好な結果を出すよう努力しなさい」と諭すはずだ。

  次に、社員の場合だ。例えばノルマが達成できなかった場合、「私は頑張りました。でもその努力は自分自身にあるのでなく、お客様の私の説明や商品のご理解 不足にありますと申し上げました」と上司に報告する。これを聴いた上司は、怒りを発し、「この社員は駄目だ」とみなすと共に、上司自身がお客様に、すぐさ ま出向き、部下の非礼をお詫びするのが常識だ。

 上述した学生・社員、いずれの場合も、社会通念上、当然の話だ。

 そし て、経営トップであれば、誠心誠意、頑張ることは当然というより必然。そして頑張っていることを口に出すのは論外だ。さらに、最重要なことは、「頑張って いることをわかってもらいたいが、それがつらく苦しいとステイクホルダー各位に公的な場面で吐露すること」は、日本だけでなく海外でもあり得ないことを、 恐らく我が国の経営者トップは理解されていないと推測する。

 なぜ、このような発言がいとも簡単に発せられたのだろうか。 

 それは、我が国の今のトップが、一般社会を知らないからだろう。毎月のお小遣い1500万円を知らなかったと明言する方。普通の社会人であれば、毎月かどうかはともかく、預金残高をチェックするのは当然の話だ。社長であれば、なおさらの話だ。

 結論を言おう。 

 頑張ったという「プロセス」を評価されるのは、小学生までだ。小学生以降は、プロセスでなく、その過程で生じた「結果のみが評価されることが社会の通念である」ことを。

 精一杯やっておられるのだろう、我が国のトップは。
  ただ、精一杯やったとしても結果を出さなければ、誰しも評価しないことを、明確に認識していただきたいと私は思っている。そして、残念ながら、今の時点で プロセスはともかく、結果を出したものがほぼ皆無であること自体、国家の経営者として失格であることを極めて重く認識していただきたい。

 一般企業であれば、社長交代後、どれだけ早く結果を出すことが問われる時代だ。そもそも、政治、いや国家運営では企業運営以上に、早く結果を出すべきものだと私は考える。

 社長は本当に孤独である。これは、なってみなければわからない。かつての麻生前首相が言われたように「どす黒い孤独感」が存在する。

 それをいとも簡単に、自らの心情を吐露する今の総理について本当に残念に思うと同時にやはり、リーダーとしての資質は皆無と言っても過言でないのが現状だと私は考える。

 最後になるが、これからの日本の将来は不安だらけで、希望や安心感は皆無だ。

 そこで、あなたが極めて辛辣に批判していた前首相の「笑顔」だけでも、見ていただきたい。故中川昭一氏と麻生前首相との「笑顔」で違和感を覚える方もおられるかもしれないが、社長としての私もこれ程の笑顔を見せることは少ないと考え、あえて紹介することとする。
 少なくとも下記のような笑顔を、鳩山総理に期待したい。あるいは、笑顔が常に見える政権運営を行い、笑顔が漂う社会の実現に向けて、早期に自分自身を改善していただきたい。総理ご自身が変わらない限り、何をやっても変わるはずが無いと私は考える。

  何も後ろめたいことが無いのであれば、政策やカネの問題を超越し、笑顔を我々に披露していただくことは可能だろう。私は、京都の大手企業の社長と何度かお 会いしているが、お会いする、近づくだけで迫力を感じる。この「オーラ・迫力」は表現できないほど私自身の心に残る。そこには「笑顔」も存在している。

 もし、鳩山総理がリーダーとしてのオーラが無いと自覚されていのであれば、あるいはオーラとは何か良く分からないのであれば、繰り返しになるが即刻、辞任いただければと私は思う。

 「笑顔を見せる」。それが、事業規模に関係なく、そして立場にも関係ない、トップの最低限の責務であると私は思う。国家のトップに「笑顔」が無い今、我々の生活に希望が見えないことは誰しも納得いただける事実だと私は思う。

 そして、2月12日の「自分なりに精いっぱいやっているつもりだが、国民の皆さんに分かってもらえない時、つらい、苦い思いをかみしめている」という自らの発言の意味を自問自答し、再度、自分なりの思いを「笑顔」で表現していただきたい。

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