ベンチャー企業社長の挑戦、そして苦闘

サン・アクト株式会社というベンチャー企業の社長が語ります。

年内不況を乗り越える中小企業への2つのキーワード:「あきらめない」、そして「自分が涙を今までに流した数」を思い出すこと。

MONEY

 私は毎日、早朝に、為替・NYダウ、そしてFinancial Timesなどのヘッドラインを米国のGoogle News経由で見ています。その結果、何らかの違和感を覚え、お陰様で当社は一年ほど前のリーマンショックの影響を受けませんでした。一歩手前で策を講じたということです。

 ただ、政権交代後、今になって、想定外の影響を受けています。急激なドル安、株価下落、事業仕分けによる当社に関連する環境関連の事業削減など、今後、どのようになるか不透明な点が多々あります。

 今、先行き不透明で、円高やデフレスパイラル、そして確実に二番底の不景気が今年3月末までに来るでしょう。少なくともここ一年間は、中小企業にとっては、私の会社も含め、過去に類を見ない苦労の連続だと思います。

 先週末、とある地銀の上層部の方にお会いし、いろいろと話をしました。企業融資でなく、住宅ローンの話でした。住宅ローン契約締結後、2年後頃に、ご主人が自殺するケースが多々あるとのこと。2年後頃であれば契約上、保険金だけでなく、住宅ローンそのものもそれ以降、担保されていくとのこと。銀行としては、たまったものではないですが、こういった事例がここ数年、極めて増加しているとのことでした。

 自分の命を担保として、家族を守る。
 
 社長の最大の責務は社員やその家族を路頭に迷わせないことだと私は考えます。簡単に言えば、業績が黒字・赤字に関係なく、毎月、「給料だけは確実に渡す」ことに尽きるということです。

 「毎月、確実に給料を渡すこと」。

 これは、中小企業の社長にとって、不況下においては、尿に血が混じる程、大変なことです。多くの中小企業の社長は、売上を伸ばすことよりも、恐らく、今月の給料を渡すにはどうすれば良いかについて、言葉で言い表せないほど、もがき苦しんでいるはずです。「給料を渡せない=社員の家族全員に迷惑をかける」ということになるからです。

 この苦しみは、社長にならなければ、絶対にわかりません。    だからこそ、先に述べた「自分の命」を自ら絶つという選択肢が、本当に限界ぎりぎりになれば、選ばざるを得ない状況になります。銀行で融資を頼んでも門前払い。闇金で金を工面しても、苦しむのは自分や家族。

 ただ、「自らの命を絶つ」ことは、残った家族のことを考えれば、極めて躊躇せざるを得ませんが、「自らの命を絶つ」ことは、誤解のないようにお願いしたのですが、ある意味、最も容易で、かつ瞬時に結果が出ることと言えます。だからこそ、残念な表現ですが、「自らの命を絶たざるを得ない」状況、行動、心理になると私は思います。

 個人的な話ですが、私は、あるホテルチェーンのオーナーの孫でした。それなりに有名なホテルチェーンでしたが、会社更生法で倒産しました。ここで、まず私の最初の挫折が始まります。そして、ホテルマンに関係のない、環境関連の仕事を始めました。この事業でも2年間は安定した給料は確保できませんでした。これが次の挫折であり現実でした。

 その後、ベンチャーキャピタルの投資等で、それなりに社会的に認知される企業に僅かですが成長しました。ただ、いつになっても、今もそうですが、「苦しみ」は続いています。

 ある時は、5日間、一睡もできませんでした。寝ようにも眠れない、眠たくもならない、頭には会社のことだけが「ぐるぐると」回っていました。また過去には、何度か一人で泣いたこともありました。

 さて、そろそろ結論を書きます。

「決してあきらめない」・「泣いた分だけ強くなれる」。これが私の結論です。あきらめるのは瞬時に可能です。ただ、「絶対にあきらめないという強固な意志」を持つこと。そして、「苦労し、涙した分だけ人間というものは成長する」ということ。これは私なりに経験し、今も、格闘しつつも、何があっても、絶対にあきらめないと、心に決めています。

 いろいろと書いてきました。私としては中途半端なエントリと考えていますが、下記の字幕入りの楽曲を聴いていただき、私の曖昧なメッセージを鮮明にしていただければと思います。

 そして、私の会社も含め、この一年間で、世間に必要な企業として認知されるように努力していくことが数少ない、あるいは唯一の選択肢だと今、考えています。

 以下、中小企業の社長の皆様、かなり前の曲ですが、歌詞をじっくりとご覧下さい。新たな勇気・新たな気力と共に、もしかすれば、新たなアイデアが生まれるかもしれません。

 今、私のベッドに末娘が寝ています。まだ小学生にもなっていない少女です。
 私は彼女のためにも、「決してあきらめず、そして、今まで泣いた苦しさを数年かけて笑いに変えたい」と命がけで努力していきます。