ベンチャー企業社長の挑戦、そして苦闘

サン・アクト株式会社というベンチャー企業の社長が語ります。

正解は一つとは限らない、自ら多様な正解を求め続けることで視野が広がるという大切なこと:まもなく小学生になる四男坊君へのメッセージ

想像力  もうすぐ小学生になる四男君、入学おめでとう。これから小学生になる君にお父さんから大切なメッセージを残すこととしましょう。  保育園と違って、小学校や中学校には「黒板」というものがあります。教室の正面にあって、そこで先生は「チョーク」を使って、字を書いたり図を描いたりして、色々なことを教えてくれます。時には、君も黒板の前でチョークを使って何かを書くこともあるでしょう。  さて、難しいことかもしれませんが、少しだけ想像してください。 答えは一つであるはずが無いということ  先生が「黒板」にチョークで小さな印を書いたとしましょう。「小さな点」のようなものです。そして、先生が「この印は何でしょう?」と聞いたとします。四男君はどう答えますか?  高校生や中学生のお兄さん達は、少しの時間だけ考えると思いますが、すぐに答えを出すでしょう、「チョークで書いた点」だと。そして誰もその答えに反論する人はいないでしょう。  しかし、今のままの四男君は違うとお父さんは思います。「小さな雲」と思うかもしれません。「小さな白い石」、「ティッシュペーパーの切れ端」に見えるかもしれません。お父さんは、その方がはるかに良いと考えています。そして、そのように様々に思い付く力こそが大切なことなのです。単なるチョークの点にも答えは多様にあるということなのです。 答えは一つと考えてしまった瞬間に、大切なものを失う  小学生になると「勉強」というものが始まります。多くの場合、「答えは一つ」と教えられます。足し算や掛け算などの算数、理科も社会も多くは「答えは一つ」です。そして中学生、高校生になるともっと難しいことを勉強することになりますが、いずれにせよ、「答えは一つ」であり、その一つしかない答えをどうやって見つけ出すかについて「学ぶ」こととなります。  「答えはたった一つと思うこと」あるいは「たった一つの答えを探し出す」ことばかりを続けると大切なものを失う可能性があるとお父さんは考えています。先生がチョークで小さな印を書けば、「チョークで先生が点を書いた」とすぐに考えてしまうことも同じことなのです。「チョークで点を書いた」ことが「本当の答え」とは限らないのです。小さな雲に見えれば、それが答えであっても良く、時には多くの答えの中の一つなのかもしれないのです。  一つの答えが見つかった時点で、安心してしまい、そこで考えることをやめてしまうこと。これがお父さんが思う本当に大切なことを失うということなのです。今の君には、「答えは一つ」という考え方も無ければ、「答えが見つかった」ことで考えることをやめることもないはずです。逆に、「このチョークの白い印は何だろうか?」といろいろと考え、想像し、たくさんの答えを思い付くでしょう。  君がお父さんのように大人になると、毎日、いろいろなことに遭遇します。多くの場合「答えは一つ」ではありません。そして「答えや正解」すらない場合がたくさんあります。しかし、お父さんは小学生から大学、大学院でずっと「唯一無二の正解」を見つけることしか頭にありませんでした。そしていろいろと自分なりに考え、やっと自分で「正解」を見つけたり、結局、わからずに先生から「答え」を教えてもらっていました。いずれにせよ「正解は一つ」でしかありませんでした。 本当の正解などあり得ない、しかし想像力があれば、正解に近づき新たな視野が見えてくる  でも、大人になれば、「正解」を自分で見つけなければなりません。「正解」を教えてくれる先生もいません。もっと重要なことは「答えが一つではない」場合がたくさんあるということです。これが「正解」だと自分で考え、結局、失敗し、そして「もう一つの正解」へと一歩近づく。でも本当に、「これが最後の正しい答え」かどうかなどわからない場合がほとんどです。正しい答えなど無いといっても良いかもしれません。  だから、「答えは一つだ」と思うこと、そして「正解だと思った時点で考えることをやめること」は、君が今、持っている素晴らしい想像力を失うことになるとお父さんは考えます。  今の四男君には少し、いや、かなり難しいことをお父さんは書きました。  ただ、何度も言いますが、「答えは一つではないことがある」、「本当にこれが正しい答えなのか常に疑問を持つこと」、「答えが見つかったと思った瞬間に考えることをやめてしまうこと」は、大きな可能性やチャンスを失うことに繋がる場合があります。  考えてみよう、想像してみよう、四男君。  君のこれからの小学生である6年間、常に「答えは一つとは限らない」と思い続けることを。そう思い続けることで、君はいろいろなことを自ら調べ、わからないことは先生に聞くとお父さんは考えます。それが結果として大きな、そして広い世界を学ぶこととなり、君の視野は確実に拡がり続けるはずです。「正解はただ一つ」と思ってしまえば、自分としての正解はこれだと考えた瞬間に、それ以上、何も調べることも考えることもなく、新たな世界を見ることもできません。  今、日本のいろいろなところで、ある人は「これが正解だ!」と言ってそれ以上、何も視野を拡げない人、人の意見を聞かない人がいます。逆に「こんな答えも正解の一つだろう」と強固に主張する人もいます。これらの人々に、賛成する人もあれば、最初から違和感を抱く人もいます。少し難しい話ですが「想像力を失った固定観念しかもたない大人」が存在するということなのです。このように大人の世界では、人それぞれ立場や考え、理念に基づき「正解」が違う場合が多々あるということを覚えておいて下さい。そして、その正解が他の人によっては「大きな間違い」と思っている方が存在するということも。  正解はたった一つで無いと確信し、未知なる正解を見つけ続ける努力をすることは、本当に君にとって必要であり、逆に大人達が忘れてしまっていることとも言えるのです。  お父さんができなかったことも、今の君ならできるはず。是非とも、「答えは一つではないと思い続ける」ことができる今の君のままで小学生時代だけでなく、それ以降も過ごして欲しいとお父さんは心より祈っています。  2008年3月28日 四男へ、父記す。 【参考書籍】 頭にガツンと一撃 ロジャー・フォン・イーク,城山 三郎 世界一やさしい問題解決の授業―自分で考え、行動する力が身につく 世界一やさしい問題解決の授業―自分で考え、行動する力が身につく 渡辺 健介 ※「ベンチャー社長ブログトップ10位をクリックで確認 ※「特選された起業家ブログ集トップ10位をクリックで確認 ※「新進気鋭アーティスト:鉄人Honey、下記画像をクリック」