ベンチャー企業社長の挑戦、そして苦闘

サン・アクト株式会社というベンチャー企業の社長が語ります。

少しだけだが違和感が残るDM

 過日、「ある方」と打ち合わせをした。「ある方」は、私と違って穏やかで丁寧な方。そして、ブロガーでもある。サイトにも人柄が垣間見えている。H氏としておこう。  数年来のお付き合いとなるが、我々が開発した樹木の剪定後の切口や保護に使用する抗菌・保護用塗布・癒合剤「樹木の味方」の販売をお手伝いしていただいている。  さて、製品に関する打ち合わせを終え、しばしブログ談義となった。 「しかし小島さんのブログは一つ一つ文章が長いですね」とH氏。 「えぇ、長過ぎると苦情もあるのですが、どうしてもスタイルは変えられなくて」と私。 (暇つぶしに携帯でご覧いただいている方も多数、おられるのだと内心思いつつも) 「Hさんのサイトは、スタイルや情報が的確で良いですね」と私。 「ありがとうございます。しかし小島さん、どうして会社のことを書かれないのです か?」とH氏。 (痛いところをつかれたと思いつつも、表情には出さず) 「我々の仕事は枯れかけた樹木を再生することです。再生前後の比較写真を掲載すれば宣伝には最適ですが、お客様にとっては、枯れかけた樹木を持っていたことをネット上とはいえ、知らされたくない、また秘密保持契約を締結している、といったところでしょうか」と私。 「そうですね、ネット上では、誰が見ているかわかりませんから、必要以上に気を付けなければなりませんね」とH氏。 (うまく応答できたが、巨大掲示板で遊ばれているんです、などとは言えず)  このようなブロガー談義をしながらも打ち合わせは終了。  打ち合わせ後、たまには短めのエントリを書いてみようかと決心。それが、今回のエントリ。(と、ここまでで、既に長い文章ではないか!という指摘も甘んじて受けますが)  さて、今回のタイトルである「少しだけ違和感が残るDM」。数日前に会社宛にポスティングされたもの。極めて大手の警備会社のセキュリティサービスの案内で四つ折。  四つ折の最初のところに誰もが知っている「三匹のこぶた」の話がイラストと共に書かれている。私も子供たちが幼い頃、風呂場で何度も話をした。「昔、むかし、あるところに・・・」というものだ。  基本的に、「三匹のこぶた」の基本的なコンセプトは、お母さん豚が、子供である三匹の子豚たちに「独立精神」を養わせようと、外の世界へ送り出したもののはず。そこで長男豚は「わら」で、次男豚は「木の枝」で家を建てた。しかし狼が吹き飛ばしてしまい二人は食べられてしまう。それを見ていた三男豚は「レンガ」で強固な家をつくり、最後には狼をやっつけてしまう。  この物語には、様々な教訓が隠されている。弱肉強食の世界もあるという点や、今の言葉で言えば「危機管理」の必要性といったところだろうか。「耐震強度」という言葉も頭をかすめるが、最大の教訓は「他人の失敗を見て、そこから学ぶということの必要性」といったもので、単純な筋書きではあるが、「人のふり見て我がふり直せ」・「他山の石」など似たような教訓は日本にもある。  さて、またまた話が長くなりそうなのでセキュリティ会社のDMに戻ろう。  先に書いたように、DMには「三匹のこぶた」の話がたったの三行で書かれ、「おわり」と大書されている。著作権等でその通りには書けないが、下記のような感じだ。
ある日、狼がワラでできた三匹の子ぶたの家に行きました。 しかし、「警備会社のステッカー」を見た狼は、すぐに逃げて帰りましたとさ。 おわり
 少し悲しい物語ではないだろうか。  もちろん、セキュリティ会社のステッカーの威力は、実際のビジネスで大成功されており納得できる。しかし、わざわざ「三匹のこぶた」の話を使わなくても他に表現はあったのではないだろうか。これでは「三匹のこぶた」の教訓は台無しである。  ポスティングによるDMということで、最初に目に付く場所にイラスト付きで、誰もが知っている「三匹のこぶた」の物語でステッカーの威力を伝えるという思いもわからなくはない。  ただ、ストレート過ぎるのでは、と私は直感で思った。  それよりも、お母さん豚がかわいそうである。せっかくの独立精神を養わせようと、子供たちを世に放ち、試行錯誤の結果、まず長男豚が「ワラ」でとりあえず急ごしらえの家を建てた。そんな長男豚に「ステッカー」を貼る知恵などあるはずも無く、「ステッカー」を貼ったとしても、これでは独立精神など養われるはずもない。  以上、本来ならば、もっと深く書きたいところだが、またしても長くなりつつあるのでこれにて終了としよう。  どうでしょうか、皆様。「ステッカーの威力」を表現する目的に「三匹のこぶた」以外でも良かったと思いませんか?  私としては、最初は「ワラ」の家だったとしても、せっかく努力した子豚達がかわいそうで仕方ありません。 ※「ベンチャー社長ブログトップ10位へ ※「特選された多様な起業家ブログ集へ ※「新進気鋭アーティスト:鉄人Honey、下記画像をクリック」