ベンチャー企業社長の挑戦、そして苦闘

サン・アクト株式会社というベンチャー企業の社長が語ります。

「無理難題」と思うのなら保護者へも手引きを渡せばと私は思う

 まず、前提として、下記に紹介する記事について、私自身も保護者の態度には、あきれはてていることを明言しておく。  「asahi.com:「運動会の旅費返せ」無理難題252件公表 大阪市教委 - 社会」  以下、「大阪市教育委員会」に正式なリリースが無かったため、この記事より一部引用する。
 教育活動に支障を来すほどひどい保護者からの苦情や注文の実態を把握するため、大阪市教委が全市立小、中学校を対象に実施したアンケート結果の一部が公表された。「運動会が雨天中止。遠方から来た祖父母の旅費を返せ」など「無理難題」の具体例は252件にのぼった。市教委は集まった実例を材料に教職員向けの手引を作成中で、今年度末の完成を目指す。 (一部割愛)  中学受験を理由に「子どもの生活リズムに合わせた登下校をさせろ」と求められた▽不登校になった児童の保護者から「教科書は不要になったので、買い取ってほしい」と要求された▽校内で転倒した生徒の保護者から「二度とけがをさせないと念書を書け」と迫られた▽「校則を守るかどうかは生徒の自由。注意するな」と注文された――などの実例が続々。  手引では、自分の子どもが運動会の組体操でピラミッドの頂点に立つ役になれなかったため、保護者からクレームがあった例を取り上げ、「今まで学校に協力してきたが、これからは考えさせてもらう」という保護者の発言を紹介。「保護者の苦情は自己中心的で受け入れられない」と判断し、集団行動を乱すような言動に断固とした態度をとるなどの対応策を伝授する。
 「運動会が雨天中止となったから遠方から来た祖父母の旅費を返せ」という発想が私には到底理解できない。いや、多くの方がそうであろう。文面から推測するに、「祖父母が学校に旅費を返せ」と言っていないことだけは確かなようであり逆に救われる思いがすることに残念な感もある。  過日、私は子供たちの小学校の運動会に参加した。隣で観戦していたご家族が、あるやりとりをされていた。遠方からお孫さんを見に来られたおばあちゃんに、子供の母親がタクシー代ということで、お金を手渡されていたのだ。もちろん、おばあちゃんは、最初は断られていたが、とりあえず半額をもらうということで落ち着いたようだった。  もし、このご家族が運動会が雨天中止となったとして、学校側にタクシー代を請求するだろうか。年に数度しか見ることができない孫の姿を見るために学校へ足を運ぶのである。そこに「孫の姿を見るためのお金がもったいない」という観念は、ほぼ皆無だろう。雨天中止だったとしても、「残念だな、また来年を楽しみにするか」とあきらめるのが祖父母の普通の気持ちだろう。  「学校に旅費を返せ」と言った保護者の態度は、祖父母の気持ちすら感じ取れていないとも言える。祖父母にとってみれば、「そんなことを学校に言うのか」といった気持で逆に残念に思うに違いない。  他人の、それも親族の気持ちさえ感じることができない保護者は、自らの子供の気持ちも敏感に察することなどできるはずもない。そのような保護者であれば、「旅費を返せ」という「無理難題」だけではなく「非常識」な様々な態度を学校側に当然の如く権利として主張することも想像に難くない。  「二度とけがをさせないと念書をかけ」・「組み体操のピラミッドの頂点に立たせなかったとは何事か」といった学校側にとっては「クレーム」、そして残念ながら保護者にしてみれば、「自分にとっては当然なる正当な保護者の権利」といったことについては、もう議論する気持ちすら生じない。  「世間ずれ」とは正にこのことを言うのではないだろうか。  私には、大学の事務方に勤務している友人がいるが、大学でも同様の事象は発生しているという。「世間ずれ」と「親離れ・子離れ」できない人々は、残念ながら、昨今、異常に増えていることだけは、他の報道や実際の友人の話からも事実であろう。  今回、なぜ、このようなことが起きているのかについては議論しない。  なぜなら、教育委員会の対応に疑問があるからである。「市教委は集まった実例を材料に教職員向けの手引を作成中で、今年度末の完成を目指す。」という点であり、かつ「対応策を伝授する」のみという点だ。  企業の立場で考えてみれば、お客様のクレーム対応集を企業内で作成し、社員に徹底させる、ということは理解できる。私も最大で1日5万人ほどのアクセスがあった「通販サイト」を運営しており、様々な問い合わせを多数、頂戴している。問い合わせ内容は多種多様であり、クレームではないが、問い合わせ対応マニュアルの必要性は、もちろん否定しない。  しかし、今回の教育現場の件は、いくら教職員向けに手引きを作成し対応策を伝授したところで解決するものではないだろう。記事のタイトルではあるが「無理難題」と教育委員会も認識しているのであれば、あるレベルで「常軌を逸している保護者」が存在していることを暗に認めていることと同様である。  完全な解決策ではないかもしれない。ただ、「教職員向けの手引きを保護者にも公表する」、あるいは「保護者向けの手引きを作成する」など、もっと踏み込んだ対策を実施しなければ何も変わらないだろう。少なくとも、教職員向けの手引きだけを作ったところで、保護者からの「クレーム」が減るとは私には到底、思えない。  まずは、何よりも「教職員向けに手引きを作る必要性に迫られた」という時代になってしまった背景を明確にし、その理由を教師ではなく教育委員会各位が、保護者に直接、対峙し、説明することが先決ではないかと私は考える。教師の現状の対応では限界であるから手引きを作り伝授すると教育委員会各位が言っているのである。今こそ教育委員会自らが言うだけでなく、行動で示す時ではないだろうか。  理想論と思われる人、既に遅きに失している、既に対策は講じられているという方もおられるかもしれない。しかし私は、教育現場の方も含め、地道な「対話」という努力を積み重ねていくことだけが唯一の解決策だと考える。  もちろん、まずは親が変わらなければならないことは確かだが、変えようにも容易には変わらない一部の親が既に存在しているのである。  「教育委員会にそこまでの職責は無い」などと言っていられる時代ではない。そして教育委員会各位もそうは思っておられないと心より願いたい。
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