ベンチャー企業社長の挑戦、そして苦闘

サン・アクト株式会社というベンチャー企業の社長が語ります。

フォロワーシップが発揮される時代へ

フォロワーシップとリーダーシップ  過去の私のエントリである「リーダーシップとフォロワーシップ」で、米国留学時代に学んだ書籍をご紹介し、フォロワーシップについて下記のようにまとめています。 The Leadership Challenge: How to Keep Getting Extraordinary Things Done in Organizations (The Jossey-Bass Management Series) The Leadership Challenge: How to Keep Getting Extraordinary Things Done in Organizations (The Jossey-Bass Management Series) James M. Kouzes, Barry Z. Posner  
気に食わない上司を部下の自分(フォロワー)が、上司をコントロールすることがフォロワーシップで、あまり語られてはいませんが、気に食わない上司がおられる方に知ってもらいたいことです。
 今、改めて過去の私のエントリを読み返すと、簡単に書き過ぎていますが、上司をコントロールするコツとして「フォロワーシップ」という考えがあるという点、あるいは上司に左右されずに自分の仕事を進めるコツの一つに「フォロワーシップ」があるといって良いかもしれません。  また、「フォロワーシップ」の反対に位置する言葉が「リーダーシップ」となります。過去エントリで「リーダーとしての資質」について下記のようにまとめています。
1)Challenged the process.(とりあえずリスクを考えずにやってみろ。やったことが失敗しても、何が原因かが分かることは、成功として評価できる。) 2)Inspired a shared vision.(ビジョンを社員に分かちあることに情熱を傾けろ。) 3)Enabled others to act.(ビジョンがしっかり伝えられれば、社員の行動にも現れる。) 4)Modeled the way(社長が手本を見せろ、そうすれば、社員もビジョンを意識するだけでなくアクションに反映される。) 5)Encouraged the heart(誰かが素晴らしい結果を出した時、メールや手紙、社内報ではなく、社長が実際に会って、貢献した担当者に直接、かつ全社的に評価する仕組みをつくれ。)
フォロワーシップは誰もがやっているのでは?  さて、フォロワーシップについて再度、エントリしたくなった理由の一つに、ビジネスピープル共和国のヨロンさんが「話の持っていき方で結果が変わる」で下記のように書かれていたからです。
特に、誰かの承認・決裁を必要とする場合、承認者・決裁者へのアプローチについては成功を勝ち取るために作戦を立てます。 (中略) どんないいアイデアだって、提案だって、話の持っていき方次第で結果が変わってくるんですよね。 相手があることならなおさら、相手が理解して、納得してこそ、自分の思いが思った通りのかたちになっていくのです。
 実はヨロンさんが指摘されている「承認者・決裁者へのアプローチ成功の作戦」も「フォロワーシップ」の一つではないかと私は考えます。そして、ご指摘の通り、「相手を納得、理解させてこそ、思ったとおりの結果が生じる」わけです。  このように、「フォロワーシップ」という言葉に関係なく、ヨロンさんのような仕事人は、無意識のうちに「フォロワーシップ的なコツ」を体得されているのではと私は考えます。 「ITmedia Biz.ID:“未来週報”で重要な仕事を中断させない――「作業予告術」」でも、下記のようなコツが紹介されています。
「頼まれ仕事ばかりでは自分の仕事が進みません」。自分がより重要な仕事をこなすためにも、上司が優先度を適切に決められるようにするためにも「作業予告術」を実践してみましょう。 (中略) 仕事を抱え込みすぎないための作業予告術 * 現在抱えている仕事のリストを公開してしまう * その週にやる予定の作業を上司に宣言してしまう * ただし、「忙しい忙しい」とは言い過ぎない!
 自分の仕事を円滑化できない大きな障害が「上司」である場合、自分で仕事リストの公開や予定を「先回りして上司に宣言」するというコツが紹介されています。  このように、重複になりますが、仕事上手の方は、知らず知らずのうちに「上司をコントロールするコツ」を体得・実践されていると私は考えます。 これから必要なフォロワーシップとは  今まで、「上司をコントロールするコツ」というテーマで(引用ばかりですが)、書いてきました。ただ、私はコツよりもさらに重要なポイントがフォロワーシップという概念に存在していると考えます。  少し、視点を変えます。  昨今の企業の不祥事、行政トップの不祥事など、今に始まったわけではありませんが、「悪い意味でのリーダーシップ」が散見されます。もちろん永年の社風・組織自体がゆがんでいたという視点、議論も必要でしょう。ただ、どんな組織にも「トップ」というリーダーが存在します。もちろん部門ごとに上司というリーダーは存在しているでしょう。しかし、その上司にもリーダーが存在します。その最高峰が「トップ」なのです。  このトップが「悪いリーダー」であった場合こそ「良いフォロワーシップ」が力を発揮します。逆に「悪いリーダーと悪いフォロワー」しか存在しない組織では、何をやっても良い結果は出ず、いつか世間を騒がせる不祥事が発覚する可能性があると私は考えます。  「そのまんま東」氏が知事に就任されました。就任後の職員への訓示で知事は、「裏金がまだあるのなら、自ら早く出してください、早く膿を出しましょう」といった旨の発言をされました。もし職員の方々が「悪いフォロワー」ばかりなら、誰も言い出すことなく何かのきっかけで裏金かどうかはともかくも、何らかの膿が発覚する可能性があります。  知事はその後、県議会議長へ挨拶に行かれました。挨拶自体は緊張感はあるものの穏やかに終わりました。ただ、メディアのインタビューに対して、議長は、以下のようなニュアンスで話されておられました。 「時間がたてば丸く、丸く磨かれていくよ、職員たちに」と。  残念ながら議長自身が、県の職員は「悪いフォロワーの集まりだ」といったに等しいのではと私は考えます。  真のリーダーとは何かといつも世間では問われています。ただ、「良きリーダーの存在」という性善説で考える時代は既に終わっているでしょう。そんな時代だからこそ、「良きフォロワーシップ、良きフォロワーの活躍」が期待されていると私は考えます。 【フォロワーシップの最新書籍】 リーダーシップからフォロワーシップへ カリスマリーダー不要の組織づくりとは リーダーシップからフォロワーシップへ カリスマリーダー不要の組織づくりとは 中竹竜二 ※「ベンチャー企業社長ブログトップ10位へ」 ※「特選された起業家ブログ集トップ10位へ