ベンチャー企業社長の挑戦、そして苦闘

サン・アクト株式会社というベンチャー企業の社長が語ります。

まもなく誕生日を迎える次男坊君へ

 まずはお誕生日おめでとう。君とお兄ちゃんだけが青森県弘前市というところで生まれました。他の弟達や妹は京都で生まれ、お父さんも京都で生まれました。弘前市の記憶はまったく無いかもしれませんが、いつか自分が生まれた町に家族みんなで行きたいなとお父さんは考えています。

 お父さんは、小学生の頃、真冬でも半ズボンで学校に通っていました。君も、寒い中、Tシャツ一枚で外で元気に遊んでいる姿を見て、「寒さにだけは強い」ということがお父さんと同じでうれしく思っています。みんなが騒いでいる間、お兄ちゃんは静かに一人で本を読んでいますね。本好きということがお兄ちゃんとお父さんは同じです。他の弟達や妹は、まだお父さんと似ているところがあるかどうか分かりませんが、彼ら、彼女らも君のように年を重ねると、何かお父さんとの共通点が見えてくるかもしれませんね。でも、誰もが言うことは「兄弟みんな同じ顔」ということ。お父さんは、みんなそれぞれ顔が違うと思うのですが、普通の人から見れば、みんな同じ顔のように見えるそうです。ちょっとおもしろいですね。そういえば、君もお兄ちゃんも、三男君も「こっちー」とか「こっじー」というあだ名で呼ばれていますね。小学校のグランドで「こっじー」と誰かが呼んだら、三人みんなが振り向いたということもあったそうですね。

 さて、最近、君に聞いたら、大人になったら「サッカー選手」になると言っていましたね。お父さんは、まったく知りませんでした。でも、放課後、小学校のグランドで友達たちと下校時間になるまで、サッカーの練習をしているとお母さんに聞きました。お兄ちゃんは「お寿司屋さん」か「ステーキ屋さん」、三男君は「野球選手」と、それぞれ将来、何になるか決めていますね。これから、将来、何になりたいか、変わっていくかもしれません。変わることは何一つ悪いことではありません。それより「将来、何になりたいかを常に気持ちとして、目標として持ち続けること」が大切なのです。そして、君も含め、お父さん、お母さんの大切な子どもたちが、もう少し大人になって、「これをやりたい」と宣言してくれれば、その実現に向けて、できる限りのことをしていきます。でも、やるのは君自身です。このことを忘れないで下さい。

 もっと君が小さい頃、「消防士になりたい」と言っていましたね。お父さんは、君も知っている近くの消防署へ行って、「息子が消防士になりたい」と言いました。すると消防署のおじさんは、「消防士になるための書類」を出してくれました。お父さんがもう少し詳しく事情を説明すると、書類ではなく、たくさんの消防車や消防士さんのポスターをくれました。覚えていますか? 今はありませんが、お父さんの部屋に消防車のポスターばかり、張られていたことを。

 先週のお休みの時、お父さんと二人でプラモデルを買いに行きましたね。本当はお誕生日のプレゼントは誰も無く、誕生日はご馳走とケーキだけということは君も知っているはず。でも、お父さんはうっかりとそのことを忘れて、プラモデルを買うことを約束しました。一人でプラモデルを完成させられるかなと思っていましたが、ちょっとだけ色を塗る時にお父さんが手伝っただけで、ほとんど君一人でやり遂げましたね。数年前には想像もできなかったことで、君の成長ぶりを確かに見ることができました。

(次男坊、半日を要した大切な作品)

 ここまでお父さんが書いてきたこのくらいの文章は、君はもう読むことができると思います。ただ、これから大人になるに向かって、お父さんなりに思うことをこれから書きます。少し難しいことですが、いつの日か、これから書くことを理解し、実行する時が来るとお父さんは確信しています。そして、これから書くこと以上の男に君はなっているとも確信しています。

いろいろなことに興味を持つ

 今、君はサッカー選手になるために、毎日、学校で練習していますね。また自由研究がきっかけで、世界中のカブトムシやクワガタの名前を覚えました。こんなふうに、ちょっとしたことで、興味が増え、いろいろなことを知るという楽しさを身に付けましたね。この楽しさに関係のあることなのですが、少し難しい言葉、「知的好奇心」。

 お父さんがいろいろとお仕事でお世話になっている大学の先生は、60歳や70歳くらいの年齢の方ばかりです。おじいちゃんと同じくらいの人たちです。おじいちゃんも毎日、まだお仕事をされていますが、大学の先生方も、外国に行ったり、毎日、研究や新たな発見をされています。ある日、「どうして先生は、そのお年になられても研究を続けられるのですか?」と聞いたことがありました。その時、先生は「まだまだ知的好奇心があるから」と答えられました。

 常に、「これはどうしてこうなるんだろう」、「どうしてこれはこうならないのだろう」というように、いろいろなものに興味を持ち、そしてその理由を探っていく。お父さんはこの態度は本当に大切で重要なことだと考えています。できる限り、いろいろなものを見て、わからないことは自分で調べる。こんなことを今から、そして大人になっても続けていけば、きっと君自身の毎日が楽しく充実したものになるとお父さんは考えています。

いろいろな人と出会う

 我が家は5人兄弟。お父さん、お母さんをいれて7人家族です。今、君はお兄ちゃんの友達や三男君の友達など、違う学年の人たちと毎日、一緒に遊んでいますね。お父さんはこのことを非常にありがたく思っています。お父さんは知ってのとおり二人兄弟です。お父さんの弟の友達と小学校の時、遊んだことはありますが、中学生になってからは、弟の友達と遊んだ記憶はありません。しかし、君の場合、まだ数年は、きっと5人の兄弟の友達、それぞれと一緒に遊んだり、喧嘩したりするでしょう。

 大人になっても、自分の周りにいる身近な人や同じ年代の人だけでなく、いろいろな人と出会ってください。少し難しいですが「価値観」という言葉があります。人はそれぞれ自分なりの考えを持っています。君がおかしい、変だと思うことも、他の人にとっては当たり前な場合があります。大切なことは、自分自身がこの人の考えややり方は、「変だ、おかしいと思う」ことや、「自分はこう思うから君もこうしたら」と自分の考えを押し付けることではなく、「この人はこんな考え方を持っているんだ」と理解し認めることです。できる限り、多くの人達と出会うことで、「多くの考え・生き方」というものに出会います。「多くの考え・生き方」を知ることで君自身の考えや生き方はさらに深まっていきます。良いと思うことは自分も実行すればいいのです。そのためにも、多くの人と出会い、話をする時間を持ってください。

一日を精一杯生きる

 これはお父さんが、まだまだできていないことです。だからこそ君にはやって欲しいとお父さんは思っています。お父さんは「今日できることは、今日中にやる」という性格です。まだまだ時間があったとしても、今日中にできることはその日にお父さんは、やってしまいます。ただ、楽なこと、簡単なことから始めることが多くあります。そうではなく、時間のかかること、難しいことを先にやり終えてしまえば、結果として、「今日中にやったことの中身が、より一層、充実する」とお父さんは考えています。

 誰しも、どんな人にも平等に与えられている唯一のモノが「時間」です。誰にとっても1日は24時間で、必ず、次の日が来ます。言い換えれば、「今日」という日は、誰も取り戻すことができない大切な時間なのです。今日が昨日になる前に、「あぁ、今日も一日、精一杯生きた」と思うような毎日を過ごして欲しいとお父さんは思います。これは本当に難しいことなのです。「今日という時間は絶対に取り戻すことができないもの」ということはお父さんも知っているのですが、どうしても「精一杯、今日も生きた」と毎日、思うことができません。

 いくら「今日できることを今日やり終えた」としても、中身が伴わない限り、「精一杯、生きた」と言えないのです。言い方を変えれば、「精一杯、生きた」と毎日、思うことができる人間は、「人生そのものが精一杯の塊」になります。難しいことですが、チャレンジしてみてください。「明日があるから、今日は適当に過ごそう」と考えることは誰でもできます。そして一度、そう考えれば、毎日がそのような連続になりがちです。このことも知っておいてください。

 さて、いろいろと書きました。お父さんの反省も込められています。

 まずは、今度の日曜日、君の以前からのリクエストである「回転寿司」屋さんに行って、家族みんなでお腹一杯になるまで食べ、楽しい時間を過ごしましょう。

 2006年11月24日 次男の誕生日を迎えるにあたり父、記す。

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