ベンチャー企業社長の挑戦、そして苦闘

サン・アクト株式会社というベンチャー企業の社長が語ります。

サルスベリと百日紅

サルスベリがきれいに花を咲かせる季節となりました。

過日、長男と次男が私の車に乗っていた時のことでした。交差点を通った時、サルスベリが少しだけ開花していました。少し車をゆっくりと走らせ、助手席に乗っていた次男に対して、「あの木はね、幹がつるつるしているでしょ。だからお猿さんでも木に登ることができないから、サルスベリというのよ。きれいな花も咲きかけているでしょ。」と話しました。次男坊は「うん、うん」というだけでしたが。

すると後部座席の長男が、「サルスベリは漢字で百日紅と書くのお父さん、知ってる? 百日も花が咲き続けるから、百日紅。」と何気なく話しかけてきました。「良く知っているなぁ」と私は長男に言いましたが、通り過ぎてしまったサルスベリを長男の一言で後ろをふりかえりながら、再度、見つめていた次男坊の姿が印象的でした。

そういえば、去年の今頃、長男にサルスベリの由来や漢字を教えたことを思い出しました。また、昨日、長男に聞いてみると国語事典に書いてあったから知っているとのこと。授業で教わったのではなく、国語辞典を何気なく眺めていて、発見したそうです。私の去年の一言が少しだけ頭に残っていたので、再度、国語辞典を見た際に、思い出したのか、どのような感じかはわかりませんが、ともかく「サルスベリ百日紅」という関係がなぜか、彼の心に残っていたことは確かでしょう。

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少し話を変えてみます。

何日か前に、文化庁による「国語に関する世論調査」が出ました。10代の若者の言葉の乱れや中高年世代の慣用句の言い方に問題があるなど、様々な角度からマスコミ等が報道していましたが、私は「言葉」や「言葉に対する意識」というものは常に変化していくものだと考えており、調査もさっと見てみましたが、結果についてはあまり興味が感じませんでした。

自分自身も若い頃は、友達同士で何も意識せずに会話をしていました。恐らく当時の大人が聞けば、びっくりするようなしゃべり方をしていたのではと思っています。また、これから「今までにない新しい言葉」も生まれてくるでしょう。これについても自分自身が使う使わないは別として、生まれてくる言葉についても否定しません。否定しようにも今、この瞬間に新しい言葉が生まれているかもしれません。これは日本だけでなくアメリカもそうでした。いや、アメリカの方が顕著だったような記憶もあります。

我々は毎年のように大学生をインターンとして受け入れています。彼ら、彼女らはしっかりした口調、話し言葉で接してくれています。もちろん友人同士では口調も話し方も違うでしょうが、社会人である我々に対しては、十分に納得のいく口調です。

結局、相手とのコミュニケーション、会話が成立することが前提で、この前提さえ守られていれば、繰り返しになりますが、言葉はどんなに変化していっても良いのではと私は考えています。

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新しい言葉が生まれていくことは社会の変化の裏返しかもしれません。その変化の良し悪しは個々によって評価が違うでしょう。ただ、冒頭にご紹介した「サルスベリ百日紅」といった昔からある言葉はできる限り、忘れ去られないようにしなければいけないと私は思っています。別に私が緑化関連の事業を展開しているから樹木の名前に拘っているわけではありません。

例えば大学生に「サルスベリ」を漢字で書いてみよう、と聞けば多くの学生は書くことができないかもしれません。ただ、由来さえ伝えれば、多くの学生は忘れることはないと思います。特にサルスベリの場合はわかりやすい例です。

このようなアプローチが最適かはともかく、何らかの方法で、昔からある言葉が忘れ去られないように動いていくことで、「新しい言葉」と「昔からある言葉」の両立を図ることこそが今の日本には重要ではないかと私は思っています。

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さて、明日から長男・次男は待望の夏休みです。

今年も何か彼らなりの夏の思い出ができればなと心から願っています。