ベンチャー企業社長の挑戦、そして苦闘

サン・アクト株式会社というベンチャー企業の社長が語ります。

ゆっくりと味わう時代へ

この写真が何か、お分かりになるでしょうか?

なぜか舗装された道路にモミジが見えます。

実は、私の家で自分で栽培しているモミジなのです。

モミジを栽培?とは変な表現ですが、実際に栽培しているのです。

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さて、話は変わりますが先週の週末に近いある日、家に戻るとザリガニが入った虫かごがありました。アメリカザリガニではなく、日本のザリガニです。誰が採ってきたのか聞いてみると、小学4年になった息子のようです。小学校で一年間、生き物を観察しようというテーマがあるそうで、早速、息子はザリガニを近所で捕まえたそうです。

私の書斎には、60cm×50cm程の大きさの水槽(60cm水槽と業界では呼称されています。)があり、熱帯魚や子供と川で採ってきた魚が10数匹、入っています。冬はヒーターで水を暖め、夏も水温が高くならないように様々な工夫をしなければならず、また一定の水質を維持しなければならないなど、魚を飼い続けることは、少々、技と忍耐、そして何といっても毎日の心遣いが必要です。

本来、魚の飼育など私の趣味ではなかったのですが、子供が夏祭りの金魚釣りでもらった3cm程度の金魚を育てるために、この世界を知り、金魚は2年程度で15cmまでに成長。その後、様々な熱帯魚を飼育し、現在に至っています。そのため、我が家には様々な魚飼育グッズがあります。

そこで、早速、日曜日に息子とザリガニ専用水槽を作成しました。砂利や石をしいたり、エアーポンプを設置したりです。息子も今まで何回も同様のことをやっているのでお互い、手馴れたものですぐにできあがりました。あとは数日おきに水を替えたり、餌をあげれば一年間、水槽の中で育ち続けるでしょう。

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その後、二人で水槽に入ったザリガニを観察していると、息子が言いました。

「お父さん、生き物だけでなく、植物も一年間、観察しないといけないんだ。」

「おぉ、それなら玄関に置いてあるモミジにしたら?」

「モミジは一年間で変化する?」

「もちろん。今はまだ葉っぱは小さいけど、これから段々と大きくなって、秋には葉っぱが真っ赤になるぞ。」

ということで、冒頭の写真のモミジが観察対象になりました。

実は、下の写真のように発砲スチロールの箱に赤玉土というホームセンターで必ず販売されている用土だけを使って、モミジの枝を昨年、挿し木にしたものなのです。大きさ・太さはちょうど焼き鳥などで使われている「竹串」とほぼ、同じ大きさです。冬の間は、もちろん落葉していますので、赤色の竹串がささっているような感じです。

挿し木、挿し穂のやり方については詳しく説明しません。

ご興味のある方はネットで検索いただければと思います。

ただ、挿し木というものは

ホームセンターなどで売られている野菜の苗や種のように

数日もすれば成長していくといったものではなく、

数ヶ月近く、じっくり待たないと結果が目に見えてこない

ということだけはご理解いただければと思います。

またすべての挿し木が成功するわけでもなく、活着(根が用土に付くこと)するまでにはかなりの時間が必要となりますが、成功すれば少なくとも数年は大丈夫です。

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さて、ご承知のように私は樹木に関わる仕事をしていますが、挿し木は仕事にも関係なく、趣味でもありません。例えば、ご紹介したモミジの挿し木の場合、あと一年間、放置しておいてそれなりに剪定していくとミニ盆栽ができあがりますが、そのようなことをする予定もありません。

ただ、「季節の移り変わりの変化をじっくりと感じたい」という理由で家の玄関先に置いているだけなのです。最初のモミジの写真のように、今はまだ完全に葉が展開していません。ただ、春先に芽が出てから、葉になるまでの速度は早いのです。だから玄関に置いて、出かける前に一目見るだけでも日々、刻々と変わっていく様子を見ることができます。

そして夏や秋にはまた様々な変化をこのモミジは見せてくれるでしょう。時には毎日、見るだけではわからない程、ゆっくりと、時には春先のように日々、変化していくこともあるでしょう。

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現在、「スローライフ」・「癒しグッズ」といった言葉が世間に認知されています。

私は、これらの言葉で表現されていることや販売されているものは、簡単に言えば、子供の頃、ザリガニ採りをしたり、どんぐりを拾ったり、近くの山で隠れ家のような基地を友達と作ったりと、昔の遊びの一部を切りとって商品やビジネスにしているような気がします。もちろん違うものもあると思います。そして違うと思って真剣に取り組んでおられる方もあるでしょう。

ただ、「スローライフ」・「癒しグッズ」に一部、共通していること、あるいはこれらの商品やサービスを求めている方々に共通していることは「結果をすぐに体験したい」ということがどこかにあるのではと思っています。コンビニで癒しグッズとして植物が売られている時代です。お金を払わないと「すぐに体験できない」時代になったということかもしれません。

しかし、今回、私がご紹介したモミジの挿し木は、ほとんどお金は必要ありません。初期投資だけで数年も季節の変化を味わうことができます。ただ、世間で売られているグッズと違う点は、上述したように、結果はすぐに出ない、楽しむことができないということだけです。

私は思います。

お金を払ってまで、すぐに楽しみたいのか、

それともすぐには楽しめなくとも長い時間、味わうか。

私は、後者を好みます。

そしてそのような時代に少しずつ戻ることを期待し、

我々は自然と対峙し少しでも環境が改善されることを願い日々、仕事を行っています。