ベンチャー企業社長の挑戦、そして苦闘

サン・アクト株式会社というベンチャー企業の社長が語ります。

環境教育とその限界?

現在、環境教育に関するイベントや、環境教育に関わる方向けのインストラクター養成講座といったものが盛んに実施されています。これは昔から実施されていることで、そして今もさらに関係者の皆様の努力で、全国各地で展開されています。しかし、このようなイベントや養成講座が、土日に開催されることが多いという点に着目していただきたいと思います。

企業社員向けのセミナーや交流会は、大半が平日に実施されます。もちろん土日に開催されるものもありますが、例えば商工会議所様などが開催されるセミナーは、講師が企業トップである場合が多く、また参加する大半が企業社員やビジネスマッチングを目指す方なので、社員の方は所属する企業の業務命令があれば参加が可能です。よって平日(基本的には夕方からが多いですが)に開催されるの場合が多いと言えます。

もちろん、ホテルや会議室などで、大半の企業向けのセミナー・パーティ等は行われます。

(ここで私が述べているのは合宿型社員研修等では無いことをご理解下さい)

さて、話を環境教育関連のイベント・養成講座に戻します。

基本的に、環境教育イベントなどは、参加者が子供達や親であるため、必然的に土日しか開催できません。そして、インストラクター養成講座も、参加者は、教育関係の方や、ボランティアとして、地域に貢献したいということで、平日、仕事を持っておられる方が多いため、やはり土日になってしまいます。

(もちろん例外もあることは承知しております。)

結局、「環境教育」というもの(環境教育の定義には様々なものがありますが)を、広く世間に広めるための絶対的な時間が平日という5日間に対し、土日という2日間しか無いというところに、残念な問題があると私は考えています。

「環境」という大きな世間の意識の高まり、そしてそれを実践する場、それを実践できるようスキルを取得されようとしている方の思いと関係無く、絶対的な時間枠が少ないということになります。

そして、もう一つ、大きな課題と私が考えていること。それは、イベントや養成講座の大半が自然の中で実施されるという点です。

(もちろん室内での環境に関するイベントや講座があることも私は知っていますが)

特に、自然の中で実施されるイベントで、そして土日という時間枠のくくりがある中、雨が降れば中止というイベントもあり得ます。もちろん大雨の中、イベントに参加するよりも晴天の、太陽の光を浴びて、様々な自然体験を受ける方が、参加者も気持ちが良いものだと考えます。

また、イベント開催者にとっても、雨天での危険防止などのリスクを考えると、やはり雨天中止・小雨決行という形をとられてしまうのは、当然のことかもしれません。こうなると、重複になるかもしれませんが、土日という少ない時間枠、そして雨の降る確率を考えると、さらに、難しい問題として浮上してきます。

これが私が言うところの、ある意味での「環境教育を広げるための限界」というものなのです。

当社の環境教育事業も、基本的には土日です。参加者が子供達やご両親なので、土日しか選択肢はありません。もちろん、様々なリスクを考え、参加者への傷害保険等も事前に加入しておきます。

しかし、基本的に違うところ、

それは台風程度の暴風以外なら、イベントを実施するというところにあります。

これは、我々に協力いただいている、環境教育・野外教育の専門家の一言によるものです。

専門家の考え、それは、

雨というものも自然環境がなせる技の一つであり、雨の中でしか発見・体験できないものもきっとある。

という考えでした。

今、日本で多くの方が、環境教育に関与されていると思います。そして上述したようなお考えの方も多くおられると思います。そして我々も大雨の中、環境教育のイベントを実施しました。対象は小学生でしたが、雨にも関わらず、楽しく様々な体験、そして少しでも彼らの心の変革のきっかけづくりができたと思っています。

スポーツの場合も該当すると思います。野球は雨の場合、それなりの影響を競技自体に与えてしまうので、雨天中止というのは、私は何の批判をするつもりもありません。そして今では、ドーム型球場がこれを克服してくれています。

しかし、サッカーやラグビーなどは、雨でも実施されます。そして、そこには、曲解していただきたくないのですが、雨ならではのドラマや、逆転劇などが生まれることもあります。そして観戦される方々も、雨や雪の心配が予想される場合、それなりの準備をされて観戦されます。

少し、視点がずれました。もう一度、言います。環境教育を広げるためには上述した観点からある意味での限界があります。ただ、自然がもたらしてくれる雨の中でも、あるいは雨の中でこそ味わえない経験やドラマが、環境教育でも実施できるということです。

こういった考えもあるということを多くの関係者、特に大手企業様主催の社会貢献活動・環境貢献活動に関するイベントでもあり得るのではという私なりの提言であるとご理解いただきたいと思います。