ベンチャー企業社長の挑戦、そして苦闘

サン・アクト株式会社というベンチャー企業の社長が語ります。

樹木活力度基準の意義

 「NPO法人グリーン・エンバイロンメント」と「当社」は、目で見るのではなく、客観的に数値や指標・基準を使って、樹木の健全度、活力度を診断する手法を共同で研究しています。 参考:「最新非破壊樹木診断  今まで、このNPOと当社で様々な研究をしてきた。デジタルマイクロプローブ・レジストグラフ・PICUS(弾性波樹木内部構造診断装置)といった非破壊検査や、樹木の生理特性、樹病など、あらゆる観点から、約200本のサクラを対象に実施してきた。これらの研究の第一回目の報告は、まもなくNPOのサイトや出版物として、皆様に見ていただく予定です。  過去記事では「サクラの天然記念物調査第一弾」と「第二弾」があります。  この天然記念物は、推定樹齢500年でした。しかしその過程で「商業樹林・造林として、周囲にスギが植林され、天然記念物のサクラに日が照らないことが、衰退の第一原因」です。スギ植林を批判するつもりはありませんが、サクラは「陽樹」=日光が非常に必要な樹木であることを知っていれば、植林が始まった頃以前に、天然記念物を考慮し、もう少し離れた間隔でスギは植えられたはず。しかしサクラよりお金になるスギが優先されたということも私も理解できることです。  ただ、500年という寿命をどう考えるかである。極論ですが100歳まで生きたパンダが死にかけたら、国家的に延命策を取るのが現状ではないだろうか。  さて、本題に戻りますが、樹木の活力度、人間でいうところの健康さは、実は見た目では判断できないことが大半です。換言すれば樹木が元気ではないと誰が見てもわかる段階では、もう回復の余地は少ないということと同一なのです。  人間でも健康そうに見えて、健康診断・検査結果で重病になる手前に、助かったという方は多いわけです。しかし、樹木は声も出せないし、定期検診もなされてません。樹齢500年など、年数に関係無く、人々に愛されている地域の樹木はたくさんあります。しかし、ある日、突然、枯れてしまうなどの事例も多々あります。  「大切な樹木」という定義は多くありますが、なぜ人間のように、定期的に健康診断をする仕組みを行政はつくらないのか。それは、どうすれば定期健康診断をすれば良いのかが分からない、確立されていないという理由から。現在、「NPO法人グリーン・エンバイロンメント」と「当社」、そして関係する専門家の方々で研究は少しずつではあるが、進捗している。京都大学を中心としたNPOの理事の方々を見ていただければ、素晴らしいメンバーだと私は思う。  そのような理事の方々がほとんどボランティアで、この研究に学生の皆さんと共に協力いただいている。それは、私としては、上述したように、人間医学の世界では確立されている客観的・数値で提示できる樹木活力度判断基準、樹木活力度診断手法が無いから=無いままでは駄目で、必要であると危機感を抱いておられるからである。  今までの私のサイトでも「サクラも危機的状況にある」、「その原因」は何かといったことを述べてきました。  アカデミック分野の専門家の先生方が一年間、200本あまりのサクラについて樹木活力度の研究をしていただいている、あるいはしなければならないと思い、暑い日も寒い日も年間を通じて述べ数40回近く、フィールドを往復いただいています。  このエントリを行政の方や、大手企業の方が見られることは無いかもしれません。ただ、危機感を感じ、実際に行動し、研究を続けている企業・団体がいるという事実を知っていただき、どんな形でも構わないので、協力いただきたいと考えています。  そして、極めて近い将来、我々の研究の最終目標の一つである、定期的な樹木の健康診断が行政の仕組みに取り入れらることを確信し、これからも研究を進めていく予定です。